Music of Frontier

「それでは…『frontier』初の単独ライブを祝して…乾杯!」

「乾杯!」

このメンバーで乾杯をするのは、何度目だろうか。

何回やっても、良いものだよなぁ。

「相変わらずルトリーヌは烏龍茶かよ…。酒飲め酒」

「え、いや…。俺は良いですよ、お酒は…」

「せめて焼き鳥食え。肉を食わんから大きくなれんのだルトリーヌは」

「大きくならなくても良いですよ…」

烏龍茶飲みながら、キャベツ齧ってるよ。

居酒屋のやみつきキャベツって、何でこんなに美味しいんだろうなぁ。

ついつい食べちゃうよね。

「それにしても、見たか?サイト」

「サイト?」

「俺達のファーストアルバムだよ。売り切れになってただろ?」

え。そうなの?

yourtubeやTwittersの方はチェックしていたのだけど。

「ライブ行きました!最高でした!」ってコメントがいくつも来ていた。

嬉しくて目から汁が出ました。

CD、売り切れになってたんだ。

元々10枚くらいしか用意してませんでした…とかじゃないよね。さすがに。

「フリマサイトにも出てたな。即売り切れになってたけど」

「そうか…。皆聴いてくれてんだなぁ」

「やっぱり、嬉しいね。自分達の歌を聴いてもらえるのは」

…そうだね。

バンドやってて良かった!って思う瞬間だよね。

ただ、転売はちょっとやめて頂きたい。

「ユーリアナが張り切ってたぞ。ファーストアルバムの売れ行きが予想以上に良いから、すぐセカンドアルバムの製作にも取り掛かるよう、上に打診するつもりだって」

「セカンドって…。早過ぎないですか?まだファーストアルバムが出たばかりなのに」

「有り難いことじゃないか。買ってもらえるうちに売っとこうぜ」

あはは…。まぁ、いつ需要がなくなるか分からないもんね。

第二第三の『frontier』がいつ出てきてもおかしくない。音楽業界ってのはそういうものだ。

どうしても、流行り廃りはある。

俺より遥かに格好良くて歌が上手い人なんて、何処にでもいるしな。

「それと…ラジオの方も好調だからな。近々、新しい仕事が入ってくるかもしれないからそのつもりでいてくれ、ってユーリアナが」

「新しい仕事ですか~…。何ですかね?」

「またライブやりてぇな~」

分かる。またやりたい。

単独じゃなくても良いから。何処か呼んでくれないかなぁ。



…などと、呑気に構えていた俺達に。

翌週、とんでもない仕事の依頼が舞い込んだ。