Music of Frontier

「お、おい大丈夫かルトリア」

「大丈夫!?足痛いか!?」

「あばふぁし@●★&@◇∈▲」

「大変。ルトリア壊れちゃった。頭叩いたら直るかな」

「いや…テレビじゃないから…。さすがに、叩いても直らないと思うぞ」

ベーシュさん、あなた家電が壊れたらとりあえずぶん殴るタイプですね。

と、言いたかったけど言えなかった。

それどころじゃなかった。

「ルトリア、しっかりしろ。担架持ってきてもらうか?」

「いや…大丈夫なんで…。ちょっと、椅子に座らせてもらったら…」

甘えるな自分で立て、と言われそうだが。

俺もそのつもりはないのに、膝が馬鹿になってしまって、立てなかった。

ルクシーがすぐに椅子を持ってきてくれて、俺は身体を支えられながら椅子に座った。

「あぅ~…」

「馬鹿。足が辛かったら遠慮せず座って歌えって言っただろ。無理して立ってるから」

「歌ってるときは、大丈夫だったんですよ…」

「まぁ…興奮してるから余計にな…」

脳内麻薬的なものがどばどば出てるから、本番中は意外と大丈夫なんだけど。

舞台袖に引っ込むと、こうして反動が襲ってくる。

でも、この反動は足のことだけじゃない。

「何だか、めちゃくちゃ楽しくて…放心しちゃいました…」

終わった!やりきった!と思うと。

身体から魂が抜けてしまった。

今心臓を撃ち抜かれて死んでも、何の悔いもありません。

「確かに…その気持ちは分かるな」

「ものごっ…す楽しかったな!」

そう。楽しかった。

人生で一番楽しかったよ。

「こんなんで腰抜かしてどうするんだ?ルトリア。きっとこれから…もっと大きな舞台に立つぞ。これから楽しいこと、たくさんあるぞ。その度にそうやって、腰抜かすつもりか?」

「ルクシー…。脅さないでくださいよ…」

「お前が、もう人生終わったみたいな顔してるからだ。終わってなんかない、今から始まるんだ」

始まる…始まる、か。そうだな。

本当、その通りじゃないか。

「…ねぇ、ルクシー。皆さん」

「うん?」

「今日、俺を…この場にいさせてくれて、本当にありがとうございます」

ルクシーも、皆もきょとんとしていた。

何を言い出すんだ、と思ったんだろう。

何を言ってるんだろうなぁ、って自分でも思うよ。

でも、どうしても言いたかったんだ。

ルクシーは、そんな俺に呆れたように笑った。

「…馬鹿だな。それは、こっちの台詞だ」

皆が俺と同じように思ってくれているかと思うと。

こんなに、嬉しいことはない。