Music of Frontier

こうなってしまうと、あとは楽だった。

緊張は、空の彼方に吹き飛んだ。

あるのは、身を灼くほどの高揚感と、ただ「楽しい」という感情だけだった。

こんなに楽しい世界が、この世にあっただなんて!

俺が今まで済んでいた世界は、なんてちっぽけでつまらなかったことだろう。

この世にこんな世界があったとも知らず、俺は今まで何をやってたんだろう?

これだけ大勢の人が、俺達の演奏を聴いてくれている。

一緒に、リズムに合わせてサイリュームを振ってくれている。

この一体感の素晴らしいことと言ったら!

興奮を、どんな言葉にすれば良いのか分からない。

この場にいる皆が、俺と同じ興奮を共有してくれているのかと思うと。

これだけの人々と、同じ時間を共有しているのかと思うと。

まるで、奇跡のようじゃないかと思った。

そして、その奇跡を可能にした音楽というものの素晴らしさを、俺は痛感していた。

それから何より、仲間達だ。

俺を、こんな幸せな場所に連れてきてくれた仲間達。

彼らは、まるで、俺の救世主だ。

もう生きてる価値なんてないと思っていた過去の自分を、酷く愚かだと思った。

そして、教えてあげたい、と思った。

あのときの俺に。

「今の俺は、こんなに幸せな場所に立ってるんだよ」と。

今この瞬間だけは、自分は生きていることを認めてもらっている気がした。

お前には生きている価値があるんだと、言われているような気がした。

…生きてて、良かったと思えた。