Music of Frontier

舞台に立ち、スポットライトを浴びた瞬間。

視界に入りきらないほどに大勢の人々が、一斉にこちらを見つめていることに気づいて。

俺は、一瞬にして卒倒するほどの衝撃を受けた。





…緊張し過ぎて、一周回って自然体になっていたのだが。

更に一周回って、全身が硬直するほど緊張した。

頭の中が真っ白になり、逃げ出したくなる衝動に駆られた。

満席ですよ、とは言われていたけど。

実際に目で見て、初めて実感した。

本当に、これだけの人が来てくれてるなんて。

もしかして三分の一くらいマネキン混じってない?と思ってよく見てみたが、皆生きてる人間だった。

ヤバい、死ぬ。皆めっちゃ見てる。

客席から押し潰されそうな重圧を感じて、俺は思わず足がすくんだ。

逃げ出したくなって、俺は一歩引いて、後ろを振り向いた。

すると。

「…あ」

そこには、四人の仲間がいた。

ルクシーと、ミヤノと、エルーシアと、ベーシュさんが。

本当に、本当に不思議なことだけども。

さっきまで、緊張で死ぬんじゃないかなと思うくらい緊張してたのに。

四人の顔を見た瞬間に、俺の中にあった緊張は、嘘みたいに消えていった。

実家に帰ってきた安心感、と言うか。

赤ん坊が、母親の腕の中に抱かれたような。

あ、自分はもう大丈夫なんだなと思った。

逃げ出す必要なんてない。後ろを向けば、ちゃんと仲間がいる。

何も恐れるべきことなんてない。

俺はまた前を向いた。観客の方を向いた。

でも、今度はもう緊張しなかった。何も怖いとは思わなかった。

そうだ。そういえば、今の俺って。