Music of Frontier

「では、二通目のお悩み相談を読みましょう」

一通目が結構重かったからさ。

今度は、軽いお悩みであって欲しい。

リスナーの気分もどんよりだよ。

「20代男性、『ルティス帝国の歩くエロス』さんからのお悩みです」

何だか凄い名前の人だな。

「えーと…『十年近くしてる片想いしてる相手がいるんですが、未だに振り向いてくれません。どうしたら良いですか?』だそうです」

おっ、比較的軽い。

それでも、本人にとっては非常に重い悩みであることだろう。

「恋愛のお悩みですか…。自慢じゃないですが、俺の恋愛経験値は0どころかマイナスなので…アドバイスに説得力が皆無なんですよねー…」

何を言っても、「でもお前彼女いない歴=年齢じゃん」で一蹴されてしまいそう。

実際そうなんだけど。

「ここはベーシュさんにお願いして良いですか」

「でも私も恋愛したことないから、分からない」

あっ、どうしよう。

企画倒れの予感。

何とかしなくては。

「そうですね…。十年片想いでしょ?多分色々アプローチはしてるのに、それでも振り向いてくれないってことですよね」

随分とガードの堅い相手だな。

それって、向こうにはもうあなたと恋愛する気はないのでは?

「いっそ、当たって砕けろじゃないですけど…。積極的にぶつかってみたらどうでしょう。きっとこの『ルティス帝国の歩くエロス』さん、奥手なんですよ。もっとこう…『あなたが好きだぁぁ!』ってことを、多少強引でもストレートにぶつけてみたらどうでしょうか」

…とは、言ってみたものの。

このペンネームで奥手なの?本当に?

まぁそういうことにしておこう。

「いっそ色仕掛けでも良いんじゃないかな」

「いや…ベーシュさん、この相談者、男性なので…」

「男性でも色仕掛けは出来るでしょ」

そうなの?

ちょっと無理があるのでは?

「と、ともかく。あなたが誠意を持ってぶつければ、きっと何かしらのお返事は得られるはずですよ。諦めず、頑張ってください」

何とか取り繕って、アドバイスをした。

これで、お悩み相談コーナーは終了である。