Music of Frontier

放課後になると、エミスキーとラトベルが俺の部屋を訪ねてきてくれた。

「ルトリア!一体どうしたんだ?」

「二人共…」

二人は事情がよく分かっていないらしく、困惑していた。

俺と同じだ。俺にだって何がなんだか分からない。

「…二人は、何処まで知ってるんです?」

「何処まで…って。なんか、ルトリアがカンニングしたって噂が…」

…そっか。もうクラスでも噂が立ってるのか。

そりゃそうだよな。タレ込みをしたのもうちのクラスの人間なんだし。

「何なんだよ?カンニングって…。ルトリア、カンニングしたなんて嘘だよな?」

「嘘に決まってるじゃないですか。俺はカンニングなんてしてませんよ…」

「やっぱり…。おかしいと思ったんだよ。ルトリアがそんなこと、するはずないんだから」

根拠なんて何もない。俺が無実だという証拠にはならない。

だけど、友人であるエミスキーにそう言われると、俺は泣きそうなくらい嬉しかった。

この二人は、俺を信じてくれる。

俺が無実だってことを。

「誰が言い出したんだ?ルトリアがカンニングしたなんて」

「分からないんです。俺も、いきなり教官に呼び出されて、言い掛かりつけられて…。こっちの言い分も聞かずに、謹慎処分ですよ」

「何だそれ、酷い…」

本当に酷いよ。

いくら無実である証拠がないとはいえ。

でも、逆に言えば俺が有罪であるという証拠もないよな?

それなのに何で俺が一方的に悪いことになってるの?

「それで…謹慎って、いつまでなんだ?」

「…処遇が決まるまでは、謹慎だそうです。明日も授業には出られそうにないですね」

「…」

エミスキーもラトベルも言葉を失っていた。

自室謹慎。授業にも出られない。

どうやらただ事ではないらしいということは、二人にも理解出来たようだ。

「…分かった。ルトリア、出られなかった授業のノート、後でコピーして渡すよ」

「ありがとうございます」

それは助かる。

このまま授業に出られなかったら、次の試験のときに危ないからな。

「元気出せよ、ルトリア。お前は無実なんだから」

「そうそう。誰か、変な勘違いしてるんだよ。ルトリアはカンニングなんてしなくても充分頭良いんだから、する訳ないじゃん、な?」

「二人共…」

持つべき者は、苦しいとき、辛いときに励ましてくれる友人だ。

一人で部屋に閉じ籠っている間は、酷く気が滅入ってしまっていたけれど。

こうして二人が訪ねてきてくれて、元気が出た。

そうだ、俺は無実なのだ。謂われもない罪を押し付けられているだけなのだ。

そのことを再確認出来た。

だから、堂々としていれば良い。事実は一つだけだ。

俺は、悪いことなんて何もやってない。