授業の後、俺はベーシュさんに会った。
「なんだか…俺達、ちょっとした有名人みたいになってません…?」
地元では知らない者はいない、みたいな。
生徒達はおろか、講師陣にも「バンドやってるんだよね」みたいなこと言われたよ。
何で、皆そんなこと知ってるの?
yourtube観てくれたのかな。どうもありがとうございます。
幸いなことにうちの予備校では、「講師ともあろう者がバンド活動なんて何事だ!」と辞めさせられるようなことはなく。
「仕事に支障を来さないなら、プライベートのことまで口は挟まないので、どうぞご勝手に」というスタンスで、俺達に好きにやらせてくれた。
有り難いことである。さすがにバンドと予備校の講師と、どちらを取るかと聞かれたら…予備校辞めなきゃいけないところだった。
折角教えることにも慣れてきたのに、今辞めさせられるのは嫌だ。
で…話を戻すが。
俺が自分のクラスであれだけバンドのことを根掘り葉掘り聞かれたということは、当然ベーシュさんも聞かれてる訳で。
「そうかもね。私も色々聞かれたよ。生徒達に」
ほら。やっぱり。
「何と言いますか…恥ずかしいですよね…」
「恥ずかしいかな?私は別に恥ずかしくないけど」
…え。
さすがベーシュさん、俺とは心臓の大きさが違う。
「むしろ、名誉なことだと思う」
「名誉…名誉かぁ…」
まぁ…それだけ多くの人が、俺達のことを知ってくれた、ってことだもんね。
ボーカル冥利に尽きるというものだろう。
「もしかしたら…もしかしたらですよ?単独ライブが成功して、アルバムもそこそこ売れて…ってことになったら、俺達、街を歩いてるだけで声をかけられたりするんでしょうか?」
「あっ!『frontier』のルトリアさんですよね!?」みたいにさ。
いや、多分俺は言われないな。言われるとしたらミヤノやベーシュさんだ。
美男美女だから。
「そうなったら良いね」
「ベーシュさんは綺麗ですもんね…」
「それだけ有名になれたら良いなってことだよ」
…ちょっと前までは、軽く笑い飛ばせたのになぁ。
今では、あながち夢物語でもないのが怖いところ。
もしかしたら本当に、道を歩いてるだけで声をかけられる日が来るかもしれない。
恐ろしや。
「なんだか…俺達、ちょっとした有名人みたいになってません…?」
地元では知らない者はいない、みたいな。
生徒達はおろか、講師陣にも「バンドやってるんだよね」みたいなこと言われたよ。
何で、皆そんなこと知ってるの?
yourtube観てくれたのかな。どうもありがとうございます。
幸いなことにうちの予備校では、「講師ともあろう者がバンド活動なんて何事だ!」と辞めさせられるようなことはなく。
「仕事に支障を来さないなら、プライベートのことまで口は挟まないので、どうぞご勝手に」というスタンスで、俺達に好きにやらせてくれた。
有り難いことである。さすがにバンドと予備校の講師と、どちらを取るかと聞かれたら…予備校辞めなきゃいけないところだった。
折角教えることにも慣れてきたのに、今辞めさせられるのは嫌だ。
で…話を戻すが。
俺が自分のクラスであれだけバンドのことを根掘り葉掘り聞かれたということは、当然ベーシュさんも聞かれてる訳で。
「そうかもね。私も色々聞かれたよ。生徒達に」
ほら。やっぱり。
「何と言いますか…恥ずかしいですよね…」
「恥ずかしいかな?私は別に恥ずかしくないけど」
…え。
さすがベーシュさん、俺とは心臓の大きさが違う。
「むしろ、名誉なことだと思う」
「名誉…名誉かぁ…」
まぁ…それだけ多くの人が、俺達のことを知ってくれた、ってことだもんね。
ボーカル冥利に尽きるというものだろう。
「もしかしたら…もしかしたらですよ?単独ライブが成功して、アルバムもそこそこ売れて…ってことになったら、俺達、街を歩いてるだけで声をかけられたりするんでしょうか?」
「あっ!『frontier』のルトリアさんですよね!?」みたいにさ。
いや、多分俺は言われないな。言われるとしたらミヤノやベーシュさんだ。
美男美女だから。
「そうなったら良いね」
「ベーシュさんは綺麗ですもんね…」
「それだけ有名になれたら良いなってことだよ」
…ちょっと前までは、軽く笑い飛ばせたのになぁ。
今では、あながち夢物語でもないのが怖いところ。
もしかしたら本当に、道を歩いてるだけで声をかけられる日が来るかもしれない。
恐ろしや。


