Music of Frontier

こうして、俺は誠に不本意ながら…授業を受けることすら許されず、すごすごと寮に引き返す羽目になった。

腸の煮え繰り返るような思いで、俺が考えていたのは。

俺がカンニングしたなんて言い出した馬鹿は誰なのか、ということだ。

目の前にいたら絶対ぶん殴ってる。

俺は神に誓ってカンニングなんてしてない。

俺が作ってた要点表は、確かに見ようによってはカンニングペーパーのように見えるかもしれないけど。

でもそのつもりで作った訳じゃないし、大体あれくらいのこと、他にもやってる人はいるはずだ。

自分なりにノートまとめただけでカンニングペーパーだと言われるなら、この学校で一体何人カンニングペーパーが作られていることか。

何より、いくらカンニングペーパーを作ろうとも、それを試験の場に持ち込まなければカンニングにはならない。

そして俺は、断じて持ち込んでなどいない。ちゃんと鞄の中にしまっていた。

ペンケースの下に隠してなどいない。

だから俺がカンニングした、なんて情報をタレ込んだ奴は、嘘をついているか、あるいは俺と他の誰かを見間違えたのだ。

そうでなければ説明がつかない。

そして、もう同じクラスになって二年目にもなるのに、クラスメイトの顔を見間違えるなんて考えにくい。

ということは…嘘をついている奴がいるのだ。

多分、俺にカンニング疑惑を吹っ掛ける為に。

一体何処の誰が、そんな悪意に満ちた嫌がらせをしたのか。

俺に何か恨みでもあるのか。それならこんな悪どいやり方をせず、正面から堂々と来てくれないものか。

教官殿も教官殿だ。タレ込んだ生徒は一方的に信じるのに、無実を訴える生徒の言い分は聞かないなんて。

俺は、何も悪いことはしてないというのに。

確かにあの日、一夜漬けに失敗して、焦っていたのは確かだ。

その点では、俺も思わせ振りな態度を取ってしまったのかもしれない。

だけど…だからって、不正行為なんかして、自分の権威を貶めるような馬鹿な真似を、誰がするものか。

「…はぁ…」

これから、俺はどうなってしまうのだろう。

このまま俺のカンニング疑惑が晴れなければ…最悪、退学処分だ。

カンニングだけで退学って厳しくないか、と思われるかもしれないが。

ここは普通の学校じゃない。厳格で、ルールに厳しい帝国騎士官学校だ。

カンニングなんてバレたら、退学も充分有り得る。

やってもいない罪で退学処分なんて、理不尽にも程がある。

一体、どうしてこんなことに?

これから先、何万回と抱くことになる疑問を、俺はその日初めて抱いた。