Music of Frontier

正直に言うと。

エルーシアとベーシュさんが賛成意見を口にすることは、ある程度予測していた。

あの二人なら、多分反対しないだろうと。

でも…ミヤノはどうだろう。

ミヤノが何て言うかは、俺にも分からない。

「…ミヤノは、どうですか」

『frontier』のリーダーで、まだ『ダーク・エンジェルズ』だったときからこのバンドを率いていた彼は。

どんな結論を出したのだろう。

全員が息を呑んで、ミヤノが口を開くのを待った。

すると、ミヤノは驚くべきことを口にした。

「…俺はな、実は…今日、結論を出してこなかったんだ」

「…え」

…結論、出してこなかった?

「と言うか…皆の意見を聞いてから決めようと思った。俺はどっちでも良かったんだよ。俺にとって大事なのは、このメンバーで、『frontier』として活動していくこと。それ以下になるのは嫌だが、それ以上にはならなくても構わないと思ってた」

…つまり、俺やルクシーと、同じ意見だった訳か。

「…それで?皆の意見を聞いて、ミヤノは今、どんな結論を出したの?」

ベーシュさんが静かに尋ねた。

「…そうだな。俺は、皆の意見を聞いて…」

ミヤノは真っ直ぐに俺達を見つめた。

とても穏やかな、そして決意に溢れた笑顔だった。

「この仲間で、新しいステップに踏み出したいと思った。このメンバーならやれるって」

「…ミヤノ…。それは、つまり」

「あぁ。この話を受けよう」

「…!」

…こんなときに、寒いことを言って大変申し訳ないが。

この瞬間、俺達『frontier』は、文字通り新たなフロンティアに踏み出した訳だ。