Music of Frontier

音楽事務所…か。

俺達にとっては、完全に夢物語だが。

夢じゃなくなってきているのだ。今では。

音楽事務所に所属すれば、俺達の活動は大きく変わることになる。

今までは素人の集団だったが、今度はプロがつくことになるのだ。

俺も詳しくはないし、イメージも全然出来てないが…。

…CD出したり、単独ライブをしたり、yourtubeに出してるMVももっと本格的なものになったりとか。

…するんじゃないの?

…怖っ。なんか怖い。

楽しそうではあるし、わくわくもするけど、何だか怖い。

俺達、本当にそんなことして良いの?

「あの…。やっぱり詐欺なんじゃないですか?いくらなんでも…。俺達素人ですよ?」

ちょっと調子に乗ってきてる、右も左も分からない素人連中に声をかけて、搾り取るだけ搾り取ろうとか。

そういうことしようとしてるんじゃないの?

俺達、もしかしてカモ?

「素人…ではあるが、でも、声をかけられてもおかしくないキャリアはあると思う」

ふぁ?

「yourtubeのチャンネル登録者数からしても…。俺達と同じくらいの登録者数がいるyourtuberが、事務所に所属してるし」

え。そうなの?

それは初耳だった。自分には全く縁のない話だと思ってたから。

「だから、声をかけられてもおかしくはないなと思ってた。来るものが来たか、とも思った。本当に来るとは思ってなかったから、驚いたが…」

困り顔のミヤノ。

そっか…。来ると思ってたか、ミヤノは。

俺よりずっと考えてるんだな。

更に、ルクシーも。

「俺もワンチャンあるかなとは思ってたよ。自分で言うのはなんだが、俺達は…事務所からしてみれば『売りやすい』だろ。歌だけじゃなく、ルックスも売れるし」

ミヤノとかね。ベーシュさんとかも。

実際、『frontier』の場合、俺の歌ではなくミヤノやベーシュさんのルックスでファンになっている人も少なくない。

俺の歌だけだったら絶対今ほど人気ないよ。

確かに…このルックスを利用すれば、ルクシーの言う通り、『売りやすい』だろう。

「…皆は、どう思う?この話」

「…」

「皆の意見で決めよう。全員が納得出来るように」

全員が…納得、か。

ここで意見が分かれれば…大変ややこしいことになるが…。