Music of Frontier

自分が、何について怒られているのか理解した。

けれど、やっぱり全く身に覚えがない。

俺は自分が無罪だと確信していた。だって、俺はカンニングなんてやってないから。

考えもしなかったよ。そんなこと。

それなのにこの教官達の目。完全に、犯人を見る目だ。

もう少し自分の生徒を信用してくれないものなのだろうか。

カンニングペーパーなんて作ってもいないし、ペンケースの下に仕込むなんて稚拙な方法でカンニングするなど、馬鹿馬鹿しい。

一体誰が、そんなことを言い出したんだか。

カンニングするくらいなら、ノー勉で受けて全教科補習になる方がまだましだ。

さて…俺は釈明を求められているのだろうが。

疑いなく俺を犯人だと思っている教官達に、一体何と言って釈明すれば良いんだ?

しかも俺には弁護士すらいない。

自分の無実は、自分で証明しなくては。

「…お言葉ですが、教官殿。一体どうしてそんな戯言を信じているのか理解出来ません。自分はカンニングなんてしていません」

「でも、カンニングペーパーを隠したところを見た生徒がいるんだ」

「誰ですか?それは」

ちょっとここに連れてきてくれ。どういうことなのか聞きたい。

「それは答えられない。我々にも守秘義務がある」

「…」

匿名のタレ込みってか。

情報提供者の人権を守るって言うなら、容疑者の人権も少しくらい気にかけて欲しいものだ。

とにかく俺はやっていない。それだけは断言出来る。

実は俺は多重人格者で、試験中自分じゃない誰かと入れ替わった、なんてことでも起きてない限りは、無実だ。

「…誰がそんなことを言ってるのか知りませんが…俺は無実です。カンニングなんて馬鹿なことはしません」

「でも、カンニングペーパーは作っていたんだろう?クラスメイトに見せびらかして、クラスメイトにもカンニングを勧めていたそうじゃないか」

「は…?」

「しかも、毎回カンニングペーパーを作ってたそうだな?入学してから、定期試験の度にカンニングしてたということだ」

「…」

もう俺は、素が出てるとか、そんなことは全く気にしなかった。

カンニングペーパーって何?

クラスメイトにカンニング勧めたって?

もしかして俺、本当に多重人格なの?

「…一体何の…。…あ」

そこで俺は、ようやく思い当たった。

カンニングペーパーってのは、もしかして…。

…俺がいつも試験前に作ってる、要点表のこと?

自分でノートをまとめてる、あれ?

あれがカンニングペーパー?

クラスメイトに勧めたってのは…もしかして、この間の…「コピーさせてあげる」「要らない」という、あのやり取りのこと?

え。ちょ…は?

訳が分からない。