Music of Frontier

焼き肉食べ放題。初めて来たけど。

結構美味しいもんだね。

特にこの塩ダレ。キャベツに塩ダレつけて食べると、物凄く美味しい。

俺は圧倒的塩ダレ派だなぁ。美味しい。

すると、牛カルビをもぐもぐしていたエルーシアが、

「ルトリーヌおめー、肉食えよ肉。さっきからキャベツと玉ねぎしか食ってねぇじゃん。いくら食っても値段は同じなんだから肉食えよ」

「いや、そうなんですけど…。脂っこくて胃もたれしそうで」

お肉、最初にちょっと食べたのだけど。

どうにも脂っこくて、少し食べるともう満足してしまって。

「ったくもやしっこだなールトリーヌは。ベアトリーヌを見習え。一人で牛一頭食らわんばかりの勢いだぞ」

「…あはは…」

ベーシュさんは、黙々と肉を焼き、もくもくと食べていた。

あれだけ一杯食べてもらったら、牛さんも満足だろう。

健康的にたくさん食べる女の子って、良いよね。

すると。

ルクシーが、焼けたお肉をぽいぽい、と俺の取り皿に放り込んできた。

え、ちょ。

「ルクシー、何してるんですか」

「こうでもしないと自分からは食わんだろ、お前は」

「…」

更に、ルクシーに加勢するように、ミヤノも、

「ルトリアは痩せっぽちだしな。少しは肉をつけた方が馬力も出るぞ」

「えー…」

肉つけたらって言うけど。

太っちゃ駄目でしょ。ボーカルは。

どうなの?ぽっちゃり系バンドボーカルって。

俺は無理だと思うな。

「つーかルトリーヌさぁ。本当にあの部屋で良かったのか?」

ルクシーに放り込まれたお肉をちびちびと齧っていると。

エルーシアが、そんなことを言い始めた。

「え…何でですか?」

俺、割と気に入ってるんだけど。

え?お化けでも出るの?

「いや…折角だからさ。防音設備付きの部屋にしといた方が良かったんじゃない?家で歌の練習出来るじゃん」

「ふぇ。いや、まさかそんな。家で練習なんて」

職業歌手って訳じゃないんだから。俺。

「いや~分かんねぇよ?今『frontier』の調子、爆上がりしてんじゃん?もしかしたら今に、大手音楽事務所とか、yourtube事務所からお声が掛かるかも…!」

何だって?

エルーシア、それは夢の見過ぎというものだ。

「そんな都合の良い話、ありませんよ」

「そんなん分かんねぇじゃん。あるかもよ?」

「俺達が事務所にスカウトされるなら、ルティス帝国にある全てのバンドがスカウトされてますよ」

そのとき、俺は軽くエルーシアの言葉を流していた。

そんな都合の良い話があるはずがない。

そう思い込んでいたのである。



…しかし。