Music of Frontier

…まぁ、言われてみれば、その懸念は当然か。

俺が生まれたマグノリア家は、貴族の家だった。

マグノリア家の屋敷は広く、例えるならそこらの小学校の校舎くらいは大きかった。

俺はそんな家で生まれ育った俺は、あの家の広さが当たり前だった。

今お邪魔しているエルフリィ家の屋敷は、マグノリア家の屋敷よりずっと控えめではあるが、それでも貴族の家であることには変わりない。

一般家庭と比べればずっと広い家だし、貴族ではない一般帝国民がこんな家に住めたら、鼻高々になるだろう。

つまるところ俺は、お坊ちゃん育ちなのだ。

お坊ちゃん育ちで、広い家で使用人を雇いながら住むのが当たり前だった俺には。

普通の独り暮らし用のアパートなんて、狭過ぎて窮屈なのではないか。

ルクシーは、そういう意味で「大丈夫なのか?」と聞いたのだろう。

まぁ…そう思うのも無理はない。

俺がお坊ちゃん育ちなのは否定出来ないし。

けれど。

「心配しなくても大丈夫ですよ。俺はもう貴族じゃないですし…。第一、入院してるときは小さな部屋だけでずっと生活してたじゃないですか」

「それはそうだけど…」

「それに、広過ぎても管理仕切れませんし。出来れば予備校でもらうお給料だけで生活したいので」

それから…動画広告収入も。

今まで言ったことはなかったが、動画の広告収入に関しては、全員の同意のもと、五人で綺麗に分けている。

生放送でも少なからず投げ銭を頂いたが、それも皆で分けている。

これらを全部合わせて、出来れば慰謝料の方には手をつけずに生活していきたい。

あまり…綺麗なお金じゃないからね。

「あ、でも寝室とリビングは別が良いので…1LDKですかね。希望は…」

「1…。分かった。まぁ…お前が良いなら良いよ」

本当に大丈夫なのか?とルクシーは心配そうだったが。

俺はそんなに心配していなかった。元々、住む場所には頓着してない。

思い出したくはないが…帝国騎士官学校にいた頃は、狭い学生寮で、一部屋六人で暮らしていた訳だから。

あれと比べれば、どんな場所でも天国だろう。

少なくとも、殴られる心配をせずに眠れるのだからな。