Music of Frontier

大体、罪状も教えられずに裁判なんて、民主的とは程遠い。

せめて、自分がどんな嫌疑をかけられているのかくらいは、教えてもらいたいものだ。

身に覚えのないことで怒られるなんて、気持ち悪いにも程がある。

「…いくら声を荒らげられましても、自分に何の嫌疑がかかっているのかも分からないのですから、何も言えません」

少しイラついていたせいか、俺の言葉には刺が満載であった。

だってしょうがないじゃないか。無実の罪で責められていると分かっていて、優しく応じてやるほど俺はお人好しじゃないぞ。

すると教官殿は、こめかみに血管を浮き立たせて、俺を睨み付けた。

いや、だからそんな睨まれても、何に怒ってるのか分からな…、

「先日の定期試験で、試験中にカンニングしたそうじゃないか」

「はぁ…?」

素が出た。

思わず、教官の前であることを忘れて、普通に素が出てしまった。

はぁって言っちゃった。

これには教官もお怒りだった。

「ふざけているのか!」

ごめんなさい。そりゃ怒る。

いくらびっくりしたからって、教官殿の前で素を出すのは良くない。

いや、でも無理もないだろう。

だってそんなの、あまりにも。

「…失礼ながら、どうしてそんな馬鹿げた嫌疑がかかっているのか、全く理解が出来ません」

一日中家にいてお昼寝してたのに、「昨日電車で痴漢しただろ!」と怒られてるのと同じ。

痴漢どころか電車にすら乗ってませんが、何か?

いや、そりゃ試験は受けたけどさ。

カンニング?は?何で?

「誰がそんなことを言い始めたんですか?」

「貴殿が試験の前に、ペンケースの下にカンニングペーパーを隠しているのを見た生徒がいるんだ」

「…はぁ…そうなんですか…」

あっ、また素が。

人間、訳分からない状況になると、うっかり素が出てしまうことが分かった。

ちょっと…本当、何言ってるのか分かんない。