Music of Frontier

そんな調子で、ライブ配信は和やかな雰囲気で続いた。

とても楽しかったけど、しかし、時間は有限。

いつまでも続く訳ではない。

あっという間に、予定していた二時間が過ぎた。

多少は延長しても良いが、これ以上はさすがに無理だろう。

ミヤノが目配せして、俺は小さく頷いた。

終わりの挨拶をしなければ。

「えー、皆さん。ここで大変残念ですが、そろそろ配信を終了したいと思います」

コメント欄は一気に「えぇー!」とか、「あと20時間やって\(^_^)/」とか、「体感時間10分」などのコメントで埋め尽くされた。

うん。あと20時間やったら俺の喉と足が死ぬ。

体感時間10分は同意。

「皆さん、こんな時間までお付き合い頂き、ありがとうございました。次回の予定はまだありませんが、もし次回がありましたら宜しくお願いします」

丁寧にお辞儀をして、それからカメラに向かって手を振った。

「ばいばーい。またね~」

「皆動画観てな~!」

「お疲れ様でした」

コメント欄も、「お疲れ様」、「おつ~」、「次回も期待」など、お別れの挨拶が並んでいた。

あぁ、なんだか大変名残惜しい。

カメラをぷちっ、と切り、撮影を終了する。

これで完全に終わり。

もう、画面の向こうの皆に、俺達の姿は見えていない。

「…はぁっ…」

俺は大きな溜め息をついて、カウンターチェアに腰を下ろした。

別に、疲れていた訳ではない。

ただ、足がしんどかっただけだ。

「大丈夫か?ルトリア」

「結局あんまり座らんかったもんな」

「あはは…。ごめんなさい」

意地になって、歌ってるときはあまり座らなかった。

それに、配信中は俺も頭がハイになってるから、意外に平気だったりするのだ。

でも、身体の方は全然平気じゃなかったらしい。

「最後の方、ちょっと重心が右に傾いてただろ。そろそろヤバいんじゃないかと思ってたら…案の定か」

「え。俺傾いてました…?恥ずかしいな…」

皆気づいたかな。

気づいてなかったら良いな。

ルトリアの足がポンコツだってこと、ファンの皆様にはあまりバレたくない。

「後片付けは俺達がやるから、お前座っとけ」

「え?いや、俺もやりますよ。杖つけば歩けるんで…」

立ち上がろうとしたが、ルクシーとミヤノがそれを止めた。

「良いから。座っとけって」

「でも…」

食い下がろうとしたところに、ベーシュさんが横から、ズバッ、とこう言った。

「動かれたらむしろ気を遣うから、大人しくしてろって言われてるんだよ。大人しくしてた方が良いよ」

「…ごめんなさい」

俺、撃沈。

本当容赦ないよね、ベーシュさん。

そういうところが、あなたの魅力です。