Music of Frontier

ライブの最中は凄く楽しくて、俺は今、世界一幸せだ!と思えるのだけだ。

問題は、ライブが終わってからだった。

ほくほくしながらライブハウスを出た瞬間、幾人ものファンに取り囲まれた。

「ルトリア君ですよね!写真撮ってください!」と。

ちょ、あなた達人間違えてません?

あ、でもルトリアって言ったし。

俺だけではなく、ルクシーもミヤノも、エルーシアやベーシュさんも同様。

二週間前のライブ同様、出待ち客がわらわらと群がってきた。

サインください、と言う人もいた。

サイン…サイン、考えてないんだよ!

帰ったらサイン考えよう。真剣に。俺はそう思った。

とりあえずその場では、さもちゃんとサイン考えてました、みたいな顔をしてサラサラとサインしてみせたけど。

もう二度と同じの書けないよ。またか。

写真も撮ったけど、やっぱり俺の顔だけひきつっているので、後の世で心霊写真として扱われる可能性が高い。

写真撮られる練習もしよう。帰ったら。

それにしても、こんなに大きなライブハウスで、多くの格好良くて素敵なバンドが出演してるのに。

この人達は、何で『frontier』なんだろう?

…ちょっと、アレかな。有名どころよりちょっとマイナーな方が好きなタイプ?

それとも、ミヤノとベーシュさんのイケメン美女を狙ってるのか。そういうことか。

ボーカルの俺は添え物だな。

一通り出待ち客を捌き切って、俺達はこそこそとライブハウスから立ち去った。

皆、ライブよりも、その後の出待ち客への対応にげんなりと疲れていた。

…つくづく、慣れないこと、するもんじゃないなって。