Music of Frontier

「まさかあんなことになってるなんて、思いもしませんでしたね…」

「…あぁ…」

大変喜ばしいことではあるが、喜んでばかりはいられないのも事実。

俺達はそりゃ、キャーキャー言われて楽しかっただろうけど。

他のバンドや、ミヤノの親戚であるライブハウスの経営者に、多大な迷惑をかけてしまった。

こればかりは、俺達の考えが甘かったと言わざるを得ない。

Twittersのフォロワー数や、yourtubeのチャンネル登録者数が目に見えて激増していることからしても、ある程度予測出来た…と言いたいが。

残念ながら、俺達の中でそれを予測出来た者はいない。

例え誰かに指摘されたとしても、信じなかっただろう。

考え過ぎだ、と笑い飛ばしていたはずだ。

まさか帝都の小さなライブハウスに、あれだけの観客が集まるなんて…実際目にするまでは、とても信じられない。

「これからは…帝都中心地にある、もっと大きなライブハウスに行った方が良いって、親戚が紹介してくれたよ」

ミヤノが、いくつかのライブハウスのパンフレットを出してみせた。

「親戚も…さりげなくだけど、これ以上うちでライブはして欲しくないみたいなこと言ってた」

「…無理もないでしょうねぇ」

別に意地悪で言われてる訳じゃない。

昨日みたいなのが今後何度もあったら、経営者からすれば堪ったものではない。

完全にキャパシティを越えていたのだから。経営者側からすれば、とても対応しきれない。

それに、他のバンドにも迷惑をかける。

もう俺達は、あのライブハウスでのライブはさせてもらえない。

だから…もっと規模が大きなライブハウスに移る必要がある。

幸いミヤノの親戚さんが、親切にも紹介してくれたライブハウスがあるので…。そちらに移ることは出来る。

「何だか…未だに実感沸きませんね。チャンネル登録者数も…凄く増えてますけど…」

スマホを取り出して、yourtubeの画面を開く。

俺達『frontier』のチャンネル登録者数、大変なことになりつつある。

具体的に言うと…0が三つくらいついてる。

俺の目の錯覚じゃないよね?これ。

動画の再生数も、最初の頃とは比べ物にならないくらい増えている。

Twittersの方もそう。

「…なんつーか、あれだな。ここまでトントン拍子だと…むしろ怖くなってくるな」

「…」

エルーシアの呟きに、皆同意だった。

ついこの間まで、「再生数二桁か…」としょぼんとしていたのに。

今や、もう何倍にもなっている。

観てくれるのは嬉しいけど、何だか上手く行き過ぎて…ちょっと怖くなってくる。