Music of Frontier

学校の職員室に入るのが大好き!得意!って人はあんまりいないと思うけど。

それはここ、帝国騎士官学校でも同じこと。

しかも厳格な縦社会であるこの学校では、教官の言うことは神のお告げも同然。

学年一の秀才と呼ばれている俺も、教官室に入るときは、ついつい鼓動が早くなってしまう。

何だろうな~…。怒られることは何もしてないはずだけど…。

昨日までの、自分の行いを頭の中で振り返ってみる。

…うん。悪いこと何もしてない。

よし、大丈夫だ。胸を張って堂々と入ろう。

まぁ大方アレだ。一応俺、二学年の最優秀生徒、って奴らしいから。

委員長に雑用頼む、みたいなノリで、何か頼み事でもされるんだろう。

扉をノックする前に、俺は再度教官室のネームプレートを確認した。

うん、間違いない。俺の担任教官の部屋だ。

間違えて別の教官室に入ったら、洒落にならないからな。

俺は教官室の扉を叩いて、声をかけた。

「ルトリア・レキナ・マグノリアです。入ります」

「どうぞ」

「失礼します」

自分は何も悪いことなんてしてない、と思っていたから。

俺は堂々と教官室の扉を開けた。

だが、すぐにそれが間違いだったことに気がついた。

何故なら、教官室にいたのは俺のクラス担任だけではなく、学年主任の教官までいた。

学年主任まで一緒にいるなんて、何事?

俺、本格的に何した?

しかも二人の教官は、限りなく不可能に近い任務を言い渡されでもしたかのような、堅い顔をしていた。

一体何があったと言うんだ…?

「あの…何の御用でしょうか」

「…」

「…?」

…何故無言?

黙っていられちゃ、分からないんだが。

「あの…教官殿…?」

教官二人と生徒一人。男三人で見つめ合っても何も楽しくないので、用件があるのなら早いところ済ませて欲しいのだが。

何より、この状況だと俺が精神的に辛い。

するとようやく、教官殿は重々しくその口を開いた。

「…呼び出しを受けたことに対して、何か覚えはあるか?」

「えっ…」

そのときになって、俺は気がついた。

この二人が、どうやら俺を責め立てる為にここに呼んだらしいことを。

明らかに二人共、俺に敵意の眼差しを向けている。

これじゃ俺は、裁判所で裁かれる罪人だ。

ちょっと待て。俺が何をしたって?

何の覚えもないけれど、でも二人共、明らかに俺を悪者だと思ってる。

でなきゃ、そんな言葉は出てこないだろう。

呼び出される覚えなんてないよ。ある訳がない。

でも、「ありません!自分は清廉潔白です!」と言える雰囲気でもない。

ここは無難な言葉で切り抜けるとしよう。

「…おっしゃることが、よく…」

「この期に及んで、まだ惚けるつもりか」

「…??」

惚けるも何も。俺からしたら惚けてるのはそっちなのだが。

俺は至極真面目。

でも二人共めちゃくちゃこっちを睨んでる。俺を悪者だと思って疑ってない顔だ。

ちょっと待って。本当にちょっと待って。

自分が何やら悪いことをしたらしく、こうして学年主任まで出てきて怒られようとしている…その状況は理解した。

でも、理由が分からない。

だって、怒られるような悪いことをした覚えはないんだから。