Music of Frontier

で、更に大変だったのがライブ後。

今日は大変だったなぁ、と皆で帰ろうとしたところ。

ライブハウスの外には、20人ほどの観客が待ち構えて、うろうろしていた。

こ、これが…所謂、出待ちという奴なのだろうか。

初めて会った。

「こ、これって…逃げるべき…じゃないんですよね…?」

何だか怖くなって、俺はルクシーの腕をがしっ、と掴んだ。

「別に逃げなくても大丈夫だ。悪いことした訳じゃないんだから」

だよね。

「普通に、にこやかに対処しよう」

「サインくださいとか言われたらどうする?エル、サインなんて考えてねぇ」

「俺も考えてない」

「適当に…それっぽいサインして誤魔化そう」

一度書いたらもう二度と同じものは書けない奴だ。

俺もそうなりそう。さすがにサインなんて考えてないし。

ってか一生考えずに生きていける人生だと思ってました。

「よし、行くぞ」

「…はい」

そーっと出ていくと、出待ちしていた観客達が、サッとこちらを見た。

うわっ。

ステージを降りると途端にビビリになる俺、思わずルクシーの後ろに隠れそうになったが。

「ルトリア君ですよね!?」

「ふぁっ!は、はい…」

若い、女子大生風の女の子が、目をキラキラさせながら駆け寄ってきた。

「一緒に写真撮ってください!」

「えっ、俺と…?」

俺と写真って。一生の黒歴史になるからやめた方が良いよ。

何とかして断ろうと思ったが、断る間もなく彼女は強引に俺の横にぴったりとくっついて、自分のスマホを自撮りモードにした。

「はいっ、チーズ」

こうなったら覚悟を決めろ、と俺は咄嗟に笑顔を作ったが。

当然上手く笑えるはずがないので、顔がひきつっていたのは言うまでもない。

リアル心霊写真みたいになってるに違いない。

「ありがとうございます!やった~」

女の子は写真を撮ってご満悦。

「え、あ、あの、それ、その写真、あの、SNSとかにアップするのはやめてくださいね」

かろうじてそれだけは釘を刺しておいた。

そんな写真が世に出回ったら、心霊写真としていつか心霊番組に出されるかもしれない。

しかし、他にも。

「ルトリア君、私とも写真撮って!」

「握手してください!」

「え、え、ちょ、あの」

わらわらわらと、女の子達が周囲に群がってきた。

何これ。俺人気者?一生ぶんのモテ期到来?

一生ぶんどころか、来世と来来世くらいのモテ期を消化してる気がする。

しかし、人気者状態なのは俺だけではなく、他のメンバーも同様だった。

特にベーシュさんには、男性ファンも群がっていた。

ベーシュさんに変なことしようとしてる男がいたら、責任持って俺が投げよう。