Music of Frontier

「そりゃ大変ですね…。今夜は、きっと有名なバンドが来るんですね。俺達の前後じゃなければ良いですね」

「は?」

「え?だってそうでしょ?」

その有名バンドが俺達の前に演奏したら、その後出てきた俺達は、きっと凄く肩身が狭いよ。

その逆、俺達の方が先だったら、きっと「さっさと引っ込めよ。お前らに用はねぇんだよ」と悪態つかれるだろうし。

それにしても、こんなに人が集まるくらい有名なバンドが、こんな小さなライブハウスでライブするなんて。

負け惜しみかもしれないけどさ。そういうバンドは、こんな田舎のライブハウスには来ないで欲しいよね。

俺達みたいな弱小バンドにとっては、目の上の瘤だ。

ただでさえ影薄いのに、余計影薄くなるじゃん。

「それで、一体、何処の有名バンドが出演するんです?」

「…ルトリア、お前何言ってるんだ?」

あれ?

俺、何か変なこと言ってる?

「…良いか。観客の目的は、何処ぞの人気バンドじゃない。俺達なんだ」

「…ふぇ?」

「今日ここに集まってる観客の目当ては、『frontier』なんだよ。俺達の歌を聴きに、皆ここに来てるんだ」

「…」

俺は口をぽかんと開けて、大層間抜けな顔で、ルクシーを見つめ返した。