Music of Frontier

「な、な、何ですか?時間はまだありますよね?」

もう始まるぞ馬鹿、遅刻だ!と怒られるのかと、俺は身構えた。

ん?でもそれだと、今俺の隣にいるベーシュさんもアウトだよね?

俺一人だけならともかく、ベーシュさんまで揃って時間を間違えるなんて考えにくいのだが…。

それとも、何か不測の事態が?

『今何処にいる?まだ学校か?』

「へ?いえ…今学校を出て…ライブハウスに向かってるところですよ。ベーシュさんと」

最寄りのバス停を降りてすぐのところ。あと10分も歩けば着くはず。

『そうか。くそっ…遅かったな』

何が?

何が遅かったの?俺、何か不味いことした?

「ど、どうしたんですか?俺何か悪いことしました?」

『いや、お前は悪くない。良いか、事情は後で説明するから…そのままライブハウスまで来てくれ。でも、正面じゃなくて裏口からだ。良いな?絶対裏口から来い』

「裏口…?でも、開いてないのでは?」

裏口があるのは知ってるけど、開いてるのは見たことない。

普段は誰も使わないからって、閉めてるでしょ?

『今日は特別に開けてもらったんだ。すぐ来てくれ。良いか、人目につくようなことはするなよ。こそこそ入ってこい。出来るだけ目立たないように』

「え…?な、何で…?」

正面口に、何かあるの?

『詳しい話は着いてから話す。くれぐれも目立たないように来い。忍者になったつもりで』

ルクシー達に何があったのかは分からないが。

ともかく、ルクシーがそうしろと言うのなら、きっとそうする必要があるのだから、ルクシーの言う通りにしよう。

「分かりました…。行きます」

『よし。今、ベーシュも傍にいるんだよな?』

「いますよ」

俺はちらっ、と傍らのベーシュさんを見た。

彼女も首を傾げていたから、どうやらベーシュさんも何も知らないご様子。

『ベーシュにも同じことを伝えてくれ。良いか、目立たないように…頼んだぞ』

「はい…」

『それじゃ』

ぷちっ、と通話が切れた。

…?