Music of Frontier

それまで俺は、どれだけフォロワー数が増えようが、チャンネル登録者数が増えようが。

いまいち、実感が伴っていなかった。

だって、そんな数はあくまでも画面の上の数であって。

20が200になったって、そりゃ凄いことではあるけど、数字だけ見れば、0が一つ増えただけ。

実際にどれだけ自分達の知名度が上がったのかについては、いまいち分かっていなかった。

それを実感させられたのは、いつものようにライブハウスでライブをした日だった。

その日のライブは、あの駅でのライブ以来、初めてのものだった。

俺はその日、予備校での授業を終えた後、ベーシュさんと共に鼻唄混じりにライブハウスに向かっていたのだが。

不意に、俺の携帯が鳴り始めた。

「あれ?電話…。ちょっと出ますね」

「うん」

ベーシュさんに断ってから、俺はスマホを取り出した。

画面には、ルクシー、の文字。

ルクシーから?どうしたんだろう。

「はい、もしもし?ルクシーですか?」

『ルトリア!お前、今何処にいる?』

「ふぁっ?」

スマホ越しに聞こえてきたルクシーの声は、いつになく鋭く、そして切羽詰まったものだった。