Music of Frontier

昨日までのチャンネル登録者数は、20~30人程度。

それが今や、十倍を越していた。

これを見て、驚かずしてどうしろと言うのか。

夢じゃないかと思うのも無理はないだろう。

「…これは一体…どういうことなんだと思います…?」

「本当だ…。凄いな」

「夢…だと思いません?」

「夢じゃないかと思う気持ちは分かるが、夢じゃないだろう。夢にしてはリアル過ぎる」

だよね。

俺もそう思う。

やっぱり夢じゃない。夢じゃないってことは現実なのだ。

そして現実だということは…俺達のチャンネル登録者数は…。

…一夜にして激増した、ということになる。

「おかしい…。yourtube運営側の、悪質なバグでしょうか…」

「いや…そんなことはないと思うが…」

「でも、一夜にしてこんなに増えるなんて有り得ます?」

「…昨日の…路上ライブのお陰じゃないか?あれを聴きに来てくれた人がチャンネル登録してくれたんじゃ…」

「そんな都合の良い話がありますかね…?」

確かに、いつもよりたくさんの人に聴いてもらったけど…。

それだけで登録者数が増えるなんて…。

すると、そのとき。

俺の携帯から、着信音が流れ出した。

あれ?電話。

「あ…エルーシアから電話です」

「エルーシアから…?出てみろ」

うん。

ぴっ、と通話ボタンを押して、耳に当てる。

「はい、ルトリアです…」

『ルトリーヌ~っ!!見たか!Twitters見たか!?』

え?Twitters?

俺達『frontier』は、先日『frontier』Twitters公式アカウントを作成した。

とはいえ、フォロワー数はまだ両手の指で数えられるくらいしかいなかったはず。

yourtubeの方は先程確認したが、Twittersはまたチェックしてない。

「まだ見てませんけど…」

『アホ。今すぐ見ろ!やべーぞ!Twittersのフォロワー数、エグいことになってる!』

えっ。

「ま、まさか一夜にして0になったとか…!?」

『ちげーよ!逆逆!一夜にして0が二つ増えてんの!』

何だと?

「ど、どうしてそんなことに?何があったんですか!?」

『わっかんねぇよ!でもミヤーヌに聞いたら、昨日のライブのお陰じゃないかって!』

昨日のライブ?

ミヤノも、ルクシーと同じこと言ってる。

「今俺、ルクシーとyourtubeを見てたんですよ。yourtubeのチャンネル登録者数もヤバいくらい増えてて…」

『マジか!』

Twittersもそんなに増えていたということは…。yourtube運営側のバグ、という訳ではなさそうだ。

Twittersとyourtube、ダブルバグ、なんて偶然があるのか?

『とにかくやべぇよ。エル達、もしかして、有名人になったんじゃね…?』

「…」

そんな実感は、全くない。

一夜にして、Twittersもyourtubeも、こんなにフォロワー数、登録者数が増えるなんて。

これは…一体何を意味するのだろう。

分かっているはずなのに、全く信じられなかった。