Music of Frontier

「な、何ですか…。言ってくださいよ、気になるじゃないですか」

「でもルトリアが傷つくかもしれないから」

「そこで引き下がられた方が気になりますよ!良いから、言ってみてください」

「…本当に良いの?」

何それ。怖い。

怖いけど、気になるから聞きたい。

「じゃあ…言うね」

「…はい。お願いします」

「…声が綺麗、ってコメントだったじゃない?」

…うん、そうだね。

それが何?この上ない褒めこと、

「歌が上手いとは一言も言ってないのよね。声は綺麗だけど、歌の方はそうでもない…って意味だったら、嫌だなと思って」

「…」

「…」

「…」

「…あ、ごめんなさい。やっぱり言わなければ良かったね」

…ねぇ。

ちょっと…泣いても良いですか?

浮かれに浮かれていたところに、頭から氷水ぶっかけられた気分である。

「そうでした…。声が綺麗とは言われたけど、歌が上手いとは言われてない…。もしかして、音痴だけど声だけは良い、って意味だったんじゃ…」

そう思うと、急激に死にたくなってくるよね。

「そ、そんな…。ルトリア、考え過ぎだろう、それは」

「いいえ…。考え過ぎなんかじゃありません。俺も目が覚めました…。ベーシュさん、さっきまでの浮かれていた俺をぶん殴ってください」

「分かった」

バシッ!とベーシュさんが俺の後頭部をひっぱたいてくれた。

ベーシュさん、あなたまた本気で。

でも、お陰で目が覚めた。

「そうですよね…。このコメントだけじゃ、褒めてるのか慰めてるのか貶してるのか、分かりませんよね…」

顔見てコメントしてくれてるんじゃないんだからさ。

本当に「この人声が綺麗だなぁ」と感心してコメントしたのか。

「音痴だけど声だけは良いから、頑張って」と励ますつもりでコメントしたのか。

「音痴だけど声だけはまぁマシかなw」と半笑いでコメントしたのか。

…どれなんだ。

最後の奴じゃね?

「あぁ…なんか、悲しくなってきました…」

「ごめんなさい。やっぱり言わなければ良かった」

「良いんですよ、ベーシュさん…。俺が浮かれていたのが悪いです…」

俺はずーん、と沈み込んでしまった。

我ながらネガティブ思考極まりないが、一度指摘されてしまうと、どうしても気になってしまうのが人間というものである。