…あれだけ、朝から散々苦しんで一朝漬けしたというのに。
いざ試験を受けてみると。
「ルトリアすごっ…。それ学年トップじゃないのか?」
「あぁ、学年トップは96点だって、先生言ってたもんな」
…今日返却された、試験の解答用紙。
驚いたことに、俺のアシスファルト語の点数は学年トップであった。
試験直前、あんなに焦ってたのが馬鹿みたい。
全然勉強してなかったけど意外とイケた、ってパターンである。
普段からそれなりに頑張っていたことと、あとは運だろう。
丁度、俺が直前に勉強した箇所が運良く出題されていた。
要は、ヤマが当たった、って奴だ。
これなら、アシスファルト語だけ五段階評価の3、ってことはないだろう。
ほっ。
やっぱり、一夜漬けには頼らず普段から勉強しとくもんだな。
日頃の努力がいざというときに物を言うのだ。それを実感した。
「おいおい、お前あんなに自信ないって言ってたのに…。嘘じゃないか」
イーリアが俺の解答用紙を覗き見て、口を尖らせた。
そうだよな。俺、今…あれみたいになってる。
試験前によくいるよね。「私全然勉強してないの~」とか言いながら、めちゃくちゃ良い点数取る人。
違うんだよ。俺はそのつもりじゃなくて。
本当に勉強してなかったんだよ。
鉛筆転がしたら運良く当たってたのと同じレベルだから。
「偶然ですよ、偶然。運良くヤマが当たっただけですから」
「…ふーん…」
俺はそのとき、ほっとひと安心して気が抜けていた。
だから、気がつかなかった。
イーリアが自分の解答用紙の端っこを、くしゃっ、と握り締めていたことに。


