Music of Frontier

…と、思っていたのだが。




「…ふぉぁ!?」

俺はその日の朝、日課になっているyourtubeのチェックをしていた。

そのときに、見つけたのだ。

俺は慌ててベッドから起き上がり、パジャマ姿のまま、部屋を飛び出した。

そのまま、隣のルクシーの部屋に飛び込んだ。

「ルクシぃぃぃ!大変ですよ!」

「はっ…!?」

着替えの真っ最中だったルクシーは、裸の上半身にシャツを着ているところだった。

なかなか際どいタイミングだったが、俺はそんなことも気づかなかった。

「何だよ、お前いきなり」

「ルクシー!大変なんですよ!あっ、おはようございます!」

まだ挨拶をしていないことに今気づいた。

「…は…?おはよう…」

「それよりルクシー!これを見てください、これを」

「うん…?…あ」

俺のスマホを覗き込むルクシー。

画面に映し出された光景を見て、彼も気づいたようだった。

そう。初めて。

俺達の、動画に。

「コメントがついたんですよ!コメント!見てください!」

「おぉ…本当だ。凄いな」

今まで俺達の動画、コメントの一つもついてなかったのに。

今朝見たら、コメントが一件来ている。

しかも、「下手くそw」とか、「ボーカル不細工杉ワロタw」みたいな、悪意に満ちたコメントではない。

「声綺麗ですね!これからも応援してます(^^)v」という、とても優しいコメント。

これは嬉しい。嬉しくない訳がない。

「ふはぁぁぁ~…!声綺麗ですねって。声綺麗ですねって!凄くないですかこれ!ディスられなかったんですよ!ディスられなかったんですよ俺!初コメントが!お褒めの言葉!俺は夢でも見てるんでしょうか?」

「落ち着けルトリア、朝からテンション高いなお前は」

だって。こんなの見たら、興奮するしかないだろう。

むしろルクシーは何でこんなに落ち着いてるの?

俺今、フルマラソン走れそうなくらい興奮して…あっ。

そのとき俺は、自分が杖を持ってくるのを忘れていたことに気がついた。

「あぅ」

「馬鹿。杖持たずに走り出す馬鹿があるか」

「す、済みません…」

がくりと膝をついてしまいそうになったところを、ルクシーに支えられた。

つい興奮して。ごめんなさい。

「とりあえず、まずは着替えてこい。パジャマじゃないかお前」

「え…?あ、本当だ…」

パジャマ姿で走り出しちゃってた。これも今気づいたよ。

「ほら。一人で帰れるか?」

「大丈夫です…。俺の部屋、隣なんで…」

杖なしでも歩けるだろう。多分。

ルクシーのお陰で、ちょっと冷静になった。