Music of Frontier

ライブが終わり、打ち上げの為に近くの居酒屋に入った俺達は。

「…ぽへー…」

「…」

「…ぽへ~…」

「…おい、ルクシーヌ。お前の相棒、さっきからどうしたよ」

「さぁ…。魂が抜けてるんだろ…」

「おい、大丈夫かルトリーヌ。しっかりしろ。…駄目だ、ベアトリーヌ、ビンタして起こすんだ」

「分かった」

スパコーン!と後頭部をはたかれて。

俺は、現実に戻された。

「ぷぎゃっ!」

控えめに言って、めちゃくちゃ痛かった。

ベーシュさん?あなた今、本気で殴りました?

でも、お陰で目が覚めました。

「ふぇ…?な、何で殴るんですか?」

「おぉ、生き返ったなルトリーヌ」

「大丈夫か。魂が抜けたのか?」

…魂…?

…うん。抜けてた。

「何と言いますか…思いっきり脱力してしまって…」

「燃え尽きたんだな?」

「はい…」

魂を…注ぎ込んできた。

もう今隕石降ってきても、今世に後悔はない。

「人生で一番かってくらい楽しかったです」

「お前、始まる前はあんなに緊張してた癖に」

「そうなんですけど…。不思議なことに、舞台に上がると全然緊張しなかったんですよ」

緊張が…遥か彼方に吹き飛んでしまって。

ただただ、楽しい一時だった。

当たり前だけど、カラオケで一人で歌うときは全然違うな。

「道理で、いつもより張り切ってるな~と思ったよ」

「キレッキレだったもんな」

「あっ、やっぱりそうでした?分かります?」

「分かるよ。お前がテンション高いから、俺達も釣られて楽しかったよ」

それは何より。

俺一人だけテンション高かったら、痛い奴になるところだった。

「ひとまず、俺達の初ライブは大成功に終わったということで…。今日は、この成功を祝おう」

「いえーい!」

「おめでとうございます」

皆で乾杯。

相変わらず、俺はソフトドリンクだけど。

今日ばかりは、祝杯をあげても良いだろう。

心なしか、ベーシュさんもちょっと嬉しそう。

俺達の初めてのライブは、帝都の小さなライブハウスで行った、観客も20人程度の小規模なものだったが。

それでも、俺達にとって初めてのステージだった。

この日の思い出は、一生俺達の心の中に、深く刻まれることだろう。

「これで俺達の人気が、少しでも上がれば良いんですけどね」

「どうだろうな…。そう都合良く行くかどうか…」

…だよねぇ。

たった一度のライブで、人気が出るんなら苦労しない。

細々と、ゆっくりやって行くしかないのだ。