Music of Frontier

…結果から言うと。






俺達の初めてのライブは、大成功だった。

舞台に出る前はあんなに緊張していたのに、音楽が鳴り始めた瞬間、そんな緊張は彼方にすっ飛んでしまった。

緊張していたのが、馬鹿馬鹿しくなるほどに。

案ずるより産むが易しとはこのこと。

観客の方は出来るだけ見ないようにして歌おうと思っていたが、俺は自然と彼らの方を見て、堂々と歌うことが出来た。

緊張で歌詞飛びそう、とか思っていたが、その心配は杞憂に終わり。

自分でも驚くほど、頭の中は冷静だった。

緊張してないどころか、楽しんでさえいた。

そう、俺は楽しかった。

こんなに楽しいのは初めてなんじゃないか?と思うほどに。

声が震えることもなく、歌詞を間違えてしまうこともなく、むしろいつもより喉の調子が良いくらいだった。

いつもの俺は、ポンコツで、出来損ないで、冴えない人間だけど。

今この舞台の上では、俺は輝くことが出来た。

今、この俊寛だけは。

俺は、自分の中の一切のしがらみを、忘れられたのだ。

あんまり楽しくて、テンションが上がっていたものだから。

舞台が終わったときには、ちょっと残念だった。

なんだ、もう終わっちゃったのか、と思った。

会場に来てくれている観客達の拍手の音で、俺は初めて我に返った。

自分の世界にすっかり入っていたものだから、観客がいることを忘れていたのである。

「下手くそww」と馬鹿にした顔をしている観客は、一人も見つけられなかった。

良かった。今夜の観客は…皆優しい人達だったようだ。

用意していた曲を全曲歌い終わると、ミヤノが代表して、『frontier』の自己紹介をしてくれた。

yourtubeに動画投稿してるので、是非見てください、と。

五人揃って観客に一礼して、拍手に見送られながら、俺達は舞台から降りた。