「でもでも、ベーシュさん。俺、授業後にいっつも質問攻めに遭うんですよ」
「質問攻め?」
そうそう。初日からそうだった。
自己紹介の後に。
「彼女いるんですか~とか、好きなタイプは~とか…。あんなこと聞かれるってのはあれですよね。俺が舐められてるからですよね?小馬鹿にされてるからなんですよね…」
そりゃ、何でも質問して良いよとは言ったけど。
あれはあくまで、授業に関することに限定したつもりだったのに。
未だに色々聞かれるよ。根掘り葉掘り。
昨日なんて、「去年のバレンタイン、チョコ何個もらいました?」って聞かれた。
プライベートにも程がある。
去年の今頃は、まだ病院に入院してたのでゼロ個でした。
そもそも生まれてこの方、バレンタインにチョコなんてもらったことありません。
あっ、そう思うと悲しい。
「『内緒です!』とか、『プライバシーの侵害です!』って言って逃げてますけど…。全然引き下がってくれないんですよね」
何としても特ダネを掴みたいという、強い意思を感じる。
JK怖い。将来インタビュアーとか向いてるんじゃないかな。
「俺に威厳がないからこんな目に…」
ずーん、と沈み込む俺に、ベーシュさんは、
「…それ、私もよく聞かれる」
何でもないような顔をして、そう言った。
「えっ!?」
「最初に来たときからよく聞かれたよ。『彼氏いるの?』とか、『結婚願望は?』とか」
…マジで?
ベーシュさんほどになっても、まだ聞かれるの?
ってか、女性であるベーシュさんにそんなこと聞くって。一歩間違えばセクハラじゃないか。
「…嫌じゃないんですか?ベーシュさん…」
「何で?別に何ともない。それだけ私のこと慕ってくれてるんだろうし…。あの先生近寄りがたい、って思われるよりずっとましじゃない」
…ベーシュさん、あなた。
「私もルトリアも若くて、生徒達とも年齢が近いから…。私達には、『威厳のある先生』は無理だよ。その役は私達よりもっと年配の、ベテランの先生がやってくれる。だから私達は、より生徒達の目線に近いところに立って、彼らの気持ちに寄り添うようにアドバイスしてあげる先生になれば良いんだよ」
「…ベーシュさん…」
あなた。
教師の…鑑のような人だ。
感動した。ベーシュさんの教師論に、心から感動した。
今日から、先生って呼んで良いですか。
「それにルトリアは、別に舐められてる訳でも馬鹿にされてる訳でもないと思う。それだけ生徒も心を開いてくれてるんだよ、きっと」
「そうなんでしょうか?」
「そうだよ。だって、そんな質問されるのは授業後だけなんでしょ?」
「え?はい…」
授業後にしてください、って言ってあるから。
「授業は真面目に聞いてくれてるんじゃない。なら、舐められてなんかいないよ。本当に馬鹿にされてたら、授業だって真面目に聞いてくれないだろうから」
「…確かに…」
…思えば、俺は自分の中にある教師像が、帝国騎士官学校の教官に偏っている節がある。
あの学校の教官が、世の中の教師の模範だと思っていたのだ。
あれを基準に考えてしまってるものだから、自分に対する生徒の態度が、舐められてるとか小馬鹿にされてるとか感じてしまうのだ。
でも…きっと世の中の教師って、あの学校の教官とは全く違ってる。
もっと柔軟に考えて良いのだ。ベーシュさんみたいに。
「成程…。分かりました。ちょっと…自信出ました」
「そう、それは良かった」
「ありがとうございます、ベーシュさん」
「ううん、どういたしまして」
『frontier』でも、頼れるエレキギター担当だが。
先輩講師としても、大変頼りになるベーシュさんである。
「質問攻め?」
そうそう。初日からそうだった。
自己紹介の後に。
「彼女いるんですか~とか、好きなタイプは~とか…。あんなこと聞かれるってのはあれですよね。俺が舐められてるからですよね?小馬鹿にされてるからなんですよね…」
そりゃ、何でも質問して良いよとは言ったけど。
あれはあくまで、授業に関することに限定したつもりだったのに。
未だに色々聞かれるよ。根掘り葉掘り。
昨日なんて、「去年のバレンタイン、チョコ何個もらいました?」って聞かれた。
プライベートにも程がある。
去年の今頃は、まだ病院に入院してたのでゼロ個でした。
そもそも生まれてこの方、バレンタインにチョコなんてもらったことありません。
あっ、そう思うと悲しい。
「『内緒です!』とか、『プライバシーの侵害です!』って言って逃げてますけど…。全然引き下がってくれないんですよね」
何としても特ダネを掴みたいという、強い意思を感じる。
JK怖い。将来インタビュアーとか向いてるんじゃないかな。
「俺に威厳がないからこんな目に…」
ずーん、と沈み込む俺に、ベーシュさんは、
「…それ、私もよく聞かれる」
何でもないような顔をして、そう言った。
「えっ!?」
「最初に来たときからよく聞かれたよ。『彼氏いるの?』とか、『結婚願望は?』とか」
…マジで?
ベーシュさんほどになっても、まだ聞かれるの?
ってか、女性であるベーシュさんにそんなこと聞くって。一歩間違えばセクハラじゃないか。
「…嫌じゃないんですか?ベーシュさん…」
「何で?別に何ともない。それだけ私のこと慕ってくれてるんだろうし…。あの先生近寄りがたい、って思われるよりずっとましじゃない」
…ベーシュさん、あなた。
「私もルトリアも若くて、生徒達とも年齢が近いから…。私達には、『威厳のある先生』は無理だよ。その役は私達よりもっと年配の、ベテランの先生がやってくれる。だから私達は、より生徒達の目線に近いところに立って、彼らの気持ちに寄り添うようにアドバイスしてあげる先生になれば良いんだよ」
「…ベーシュさん…」
あなた。
教師の…鑑のような人だ。
感動した。ベーシュさんの教師論に、心から感動した。
今日から、先生って呼んで良いですか。
「それにルトリアは、別に舐められてる訳でも馬鹿にされてる訳でもないと思う。それだけ生徒も心を開いてくれてるんだよ、きっと」
「そうなんでしょうか?」
「そうだよ。だって、そんな質問されるのは授業後だけなんでしょ?」
「え?はい…」
授業後にしてください、って言ってあるから。
「授業は真面目に聞いてくれてるんじゃない。なら、舐められてなんかいないよ。本当に馬鹿にされてたら、授業だって真面目に聞いてくれないだろうから」
「…確かに…」
…思えば、俺は自分の中にある教師像が、帝国騎士官学校の教官に偏っている節がある。
あの学校の教官が、世の中の教師の模範だと思っていたのだ。
あれを基準に考えてしまってるものだから、自分に対する生徒の態度が、舐められてるとか小馬鹿にされてるとか感じてしまうのだ。
でも…きっと世の中の教師って、あの学校の教官とは全く違ってる。
もっと柔軟に考えて良いのだ。ベーシュさんみたいに。
「成程…。分かりました。ちょっと…自信出ました」
「そう、それは良かった」
「ありがとうございます、ベーシュさん」
「ううん、どういたしまして」
『frontier』でも、頼れるエレキギター担当だが。
先輩講師としても、大変頼りになるベーシュさんである。


