Music of Frontier

「大丈夫ですよ、大筋は掴めてるので。この文で一番言いたいことはその部分です」

あとは、色々くっついてる修飾語を訳せば良いだけ。

「ここは『革命に』より、『革命の為に』と訳した方が綺麗ですね。それと、『利用した』より…そうですね、『費やした』とか『捧げた』の方が良いと思います」

「でも、先生。辞書を引いても、その単語にそんな意味はありませんでしたよ?」

うん、そうだね。

これが他の問題文なら、辞書の通りの訳し方で良いのだけど…。

「あくまで意訳です。これは皆さんご存知の通り、『ルティス帝国英雄伝』からの引用なので、訳も出来るだけ原文に則した方が良いです。模試や入学試験の問題が、この本から出典されることは度々あるので、『ルティス帝国英雄伝』に関してだけは、辞書の通りに訳すことより、綺麗に意訳する癖をつけておいた方が良いですよ」

勿論、変な風に意訳してしまうよりは、辞書に書かれている意味の通り訳した方が良い。

でもそれだと、どうしてもカチカチの訳になってしまうし。

採点も、△になってしまうことが多いのだ。

「成程…。分かりました」

「でも、慣れないうちは安易に意訳しないでくださいね。自信のないところはいつでも俺に聞いてください」

『ルティス帝国英雄伝』なら、アシスファルト語で読めるくらいにマスターしてある。

有名な本だしね。

「じゃ、次に行きましょう。問2の訳について…ミドリさん、お願いします」

「あ…先生、済みません」

ん?

「実は昨日、歴史の課題と化学の課題が重なって…。アシスファルト語まで手をつけられなくて」

「えっ」

「訳せてません。えへへ…ごめんなさい」

…なんてこと。