Music of Frontier

「ちょ、ちょっと皆さん…?」

「あっ、先生赤くなってる~!かわい~!」

「可愛い!?」

二十歳も過ぎた、ピチピチのJKからすればオッサンも同然の俺に。

可愛い!?

血迷ったかJKよ。

それとも君はあれか。今流行りの。

転がった箸に対しても「可愛い~♪」とか言うタイプか。

「可愛くないですよ!さっきから、どんな質問してるんですかあなた達は」

「え~?だって何でも質問して良いって言ったじゃないですか」

そりゃ言ったけどさ。

でもそんな質問されるとは思わないじゃん。

君達、「何でも好きなもの買って良いよ」と言われると、平気な顔して「じゃあ10カラットのダイヤの指輪買って」とか言うタイプか。

限度と言うものがあるだろ。限度が。

「勉強!勉強に関する質問!それなら何でも受け付けますが、俺の…その、男女関係に関する質問は、全部ノーコメントですから!余計なお世話ですよ!」

「あ~。先生彼女いないんですね~?」

「必死だもんね~。かわい~」

JKに馬鹿にされる、新任予備校講師。

なんてことだ。こんな予定ではなかったのに。

馬鹿にされなかったのは良いけど、違う意味で馬鹿にされてる気がする。

「そ、それより授業!授業を始めますよ。教科書開いて!ビシバシ行きますからね」

「うふふ。は~い」

初日から、完全に生徒に舐められている気がするが。

何とかここから挽回したいと願う、今日この頃であった。

だが、もう無理な気がする。

俺の予備校講師人生は、今日この日、初回の挨拶で全てが決定してしまった。