Music of Frontier

こうして迎えた、初出勤の日。

俺の人生史上、初めて教える側として参加する授業である。

教えられる側には何度もなったことがあるんだが。

教える側になるのは初めて。

さすがの俺も、緊張するというものだ。

「はぁぁ~。緊張する…」

初出勤の前、俺は両手を擦りながら緊張を堪えていた。

初MVを投稿したときもだいぶ緊張したけど、あれと同じくらい緊張する。

「今からそんなんで大丈夫か、ルトリア」

ルクシーは、そんな俺を心配そうに見つめていた。

我がことのように心配してくれてありがとう。

「さすがの俺も緊張しますよ~。初めての授業ですよ…?どんな生徒がいるかな~と思うと…」

…もしかしてさ。

凄い不良みたいな生徒いたら、どうする?

「どうします?新任教師イビリとかされたら!金髪で入れ墨して、腰パンでスマホ弄ってる生徒とかいたら!」

「いつの時代だよ、それ…」

いや、有り得る。きっと有り得るよきっと。

俺がいくら、必死に説明しても全然聞いてくれなくてさ。

隣の子とキャハハハって喋っててさ。俺の声全然聞こえないみたいな。

あるいはずーっと下向いて、延々とスマホポチってたり。

あっ、でも多分一番傷つくのは、めちゃくちゃ真面目に授業聞いてるように見えて、手元をよく見ると全く別の科目の勉強してた、みたいな。

俺の授業より市販の問題集の方が優秀、と言わんばかりに。

そんなのされたら、俺の存在価値がなくなってしまう。

「お礼参りだ!とか言ってボコられたりとか…。今の俺だと、反撃もままなりませんよ…」

「…ないだろ。そんなの」

ないとは言い切れんだろ。最近の子が何考えてるのか、俺、全然分からないんだもん。

「大体、そんなブラックな講師だったら、ベーシュはお前を誘う前にやめてるだろ」

「あっ…そっか」

そうだよね。ベーシュさんも同じ職場なんだもね。

でも分からないよ。ベーシュさんは美人だから、そういう制裁から免れているだけであって。

ブサメンには容赦してくれない可能性がある。

「お前の教え方が悪いせいで成績が落ちたぞ!って因縁つけられたりしたらどうしよう…」

「大丈夫だっての…。お前、初日からネガティブ過ぎだろ…」

だって。俺、自分に自信がないんだもん。

教師なんて、やるの初めてだしさ。

教えられたことはあっても教えたことはない。

「ヤバいなと思ったら帰ってこい。大丈夫だ。堂々としてろ」

「…あい…」

いつぞやの、エロいイケメンのごとく。

堂々と、教師してきます。