Music of Frontier

「マジか~。ルトリーヌ、予備校の先生になるの?」

「なれたら、ですけどね…」

足びっこ引いてるような奴は要らねぇ、と言われる可能性もある。

そうなると、予備校の先生にはなれない訳だが。

「でも、先生になるのに、教員免許とか要らねぇの?」

あ、確かに。

さすがに俺も、教員免許は持ってない。

「心配要らない。うちは教員免許持ってなくても講師になれるから。それに…私も、教員免許は持ってないし」

「あ、そうなんですか」

ベーシュさんも持ってないのか。それなら安心か。

今更教員免許取りに行くのはさすがに、無理だからな。

「ルトリアは教えるの上手そうだから、人気講師になれるな」

「イケメンだしな~。イケメン教師だ!」

「そんな…。既に美人教師がいるから、俺なんか見向きもされませんよ」

ベーシュさんがいるんだから。

俺なんか、あれだよ。びっこ引いてる教師、って扱いだよ。

もし雇ってもらえるのなら、の話だけど。

「…ルクシーは、反対ですか?」

そっとルクシーを見る。ルクシーは心配性だから、反対するかもしれない。

すると、案の定。

「…大丈夫なのか?」

「…何がですか?足のこと?頭のこと?」

杖をついてても雇ってくれるのなら、足のことは問題なし。

頭の方はますます問題ない。俺はこれでも、一応ルティス帝国最高峰の教育機関に通っていた身なのだから。

「メンタルの方だよ。お前、あんまり…学校に良い思い出ないだろ」

「…」

皆がいる手前、多少ぼかして言ってくれたが。

要するに…お前、トラウマを彷彿させるようなところに自分から言って、大丈夫なのか、ってことだ。

まぁ…そう思うのも無理はない、が。

「…大丈夫ですよ。俺はもう…あの頃の俺じゃありませんから」

「ルトリア…」

「それに、今度は予備校ですからね。前の学校とは違いますよ」

絶対、とは言わないけど。

でも大丈夫だ。ちゃんと治療はしてるし…。

今は、あの場所に縛られずとも…自分の居場所を見つけている。

だから、心配要らない。

「…そうか。お前が良いなら良いけど…。でも、無理はするなよ」

「はい」

無理…しようと思っても、ルクシーはさせてくれないしね。

大丈夫だと信じて、前に進む他ない。