Music of Frontier

それからも、先輩達からの嫌がらせは続いた。

つまらない、小学生みたいな稚拙な嫌がらせの数々だが…塵も積もれば山となる、というもの。

一年生が終わる頃には、俺はもうほとほと疲れ果てていた。

けれども、学年が変わったところで寮の部屋割りが見直されることはなく。

二年生になっても、状況は何も変わらなかった。

強いて言うなら、先輩達の嫌がらせが小学校低学年レベルから、小学校高学年レベルくらいに進歩した。

俺にとっては迷惑でしかない。

それでも俺は、エミスキーやラトベルに愚痴るだけで、姉を含め大人達には何も言わなかった。

相変わらず、優秀な成績も維持していた。

多分、そのことも先輩達は気に入らなかったのだろう。

二年生になる頃には、嫌がらせの頻度も多くなってきていた。

むしろ、いくら嫌がらせしても俺があまり堪えていないものだから、イライラしていたのだろう。

俺は別に堪えていない訳じゃなく、怯んでいるところを見せるのが癪だっただけだ。

あんな奴らに、少しでも嫌がらせに屈している様子なんて見せようものなら…大喜びするに決まってる。

絶対、喜ばせてなるものか。

俺ももう、意地になっていた。

でも…俺がいくら意地を張ったって、現状は何も変わらない。

俺は先輩達が卒業するまで、毎日このままなのか。

そう思うと、うんざりしてしまった。

しかも、一年席が終わる頃には…問題はそれだけではなくなっていた。

いや、こちらはそんなに…問題と言うほどではないが。

俺は先輩達だけではなく、同級生の中でも少しずつ浮く存在になっていた。

エミスキーやラトベル、イーリアの三人とは変わらず仲良しだったけど。

でも、他のクラスメイトからは避けられるようになっていた。

帝国騎士官学校に来るような生徒は、それなりのプライドを持って来ている者が多かった。

要するに、まぁ…こちらも先輩達と同じ。自分より才能のある人間がいると思うと、妬ましいのだ。

俺が寮で嫌がらせに遭っていることも、大抵のクラスメイトは知っていた。

誰も先輩達に目をつけられたくはないから、既に先輩に睨まれている俺には近寄らない方が良い。

多分、そう思っているのだろう。

お陰で俺は、エミスキー達がいないときはいつもボッチだった。

とはいえこれはあまり辛くはなかった。

エミスキー達は変わらず仲良くしてくれていたし、それにクラスメイトは先輩と違って、俺を無視することはあっても、嫌がらせをすることはない。

それに、俺が避けられているのは先輩達が原因なのだから、いずれにしても先輩達がさっさと卒業してくれれば、俺の苦しみは終わる。

だから、何とかそれまで辛抱すれば…そう思っていた。

…だが、俺は間違っていた。

先輩達が卒業するまでこのまま、ではなかったのだ。





きっかけは、中学二年生の中頃…中間試験だった。