Music of Frontier

「…ふぇ?」

思わず、またそんな変な声が出てしまった。

これには、ルクシーも驚いていた。

「…え、は…入るんですか?」

「駄目かな?」

「いや、駄目じゃないです…。むしろ嬉しいですけど…」

…断られるとばかり思ってたから、ちょっと拍子抜けしちゃっただけで。

「本当に…良いんですか?ベアトリーシュさん…。そんなあっさりと」

「うん。私も…ずっと、何処かのバンドに入りたいと思ってたから」

「そ、そうでしたか…」

それじゃ…何て言うか、お互い都合が良かったってことなんだろう。

だったら、その…もう少し嬉しそうな顔をして欲しいな、と思ったり思わなかったり。

ベアトリーシュさん、全然表情が変わらないから、何考えてるのかいまいち分かりづらくて。

ともかく、これで無事俺達の悲願は達成された。

『ダーク・エンジェルズ』はついに、バンドとして機能する最低限のメンバーを揃えたのだ。

万歳。

「それじゃ…その、これから宜しくお願いしますね、ベアトリーシュさん」

「宜しく」

ありがとう。ちょっとくらい微笑んで言ってくれたら嬉しかったな。

いや、贅沢は言うまい。

お前みたいな変な奴がいるバンドは無理、と断られなかったのだから御の字。

「それと…これからのことと、それと他のメンバーも紹介したいので、近々会えます?時間に都合の良いときに…」

「週末か、平日の夜だったら大丈夫」

「あ、はい。分かりました」

表情の変化は乏しいし、無愛想でもあるのだが。

一応、最低限の会話は成立する。有り難いことに。