Music of Frontier

「あの子は…女の子だったんだけどな」

あぁ、女の子ボーカル。

良いじゃないか。男ばかりでもちょっとむさ苦しいし。

「年齢も…あの当時、20歳くらいだったかな」

年齢も、俺達に釣り合ってるじゃないか。

一体何がそんなに悪かったのか。

「…ルックスに問題があったとか…?」

ミヤノもエルーシアもルクシーもイケメンだし、そんなイケメン男子の中に入るには、ちょっとお顔がアレ過ぎた、とか?

いや、そのくらいは許容範囲だろう。

大体ルックスで落とされるなら、俺が加入出来てるのはおかしい。

「顔はそんなに…。そこまでブスじゃなかったよ」

「じゃあ何で落としたんですか」

「落としたって言うか…一度は仮採用して、一緒にやっていくつもりだったんだけど…なぁ」

「あぁ…」

え?何それ。一度は採用した?

じゃあ試用期間に落とされたってこと?

「とりあえず何か歌ってみようか、ってことになって…。皆で楽器を構えた瞬間に、突然怒り出してな…」

「…何で怒るんですか?」

「お前ら前に出過ぎだ、って」

「…??」

…どういう意味?それ。

「俺達をめちゃくちゃ後ろに、はしっこに押し退けてな、あの子、自分はセンターに立って、謎の振り付け付きで歌い始めた」

「…」

「しかも超音痴なの。耳塞ぎたくなるレベルで。おまけに、激しく踊りながら歌ってるんだから、息切れまくって歌えてねぇし」

「…」

「せめてそのダンスはやめた方が良いんじゃないか、って俺達が言ったら、床に座り込んで、『何でそんなこと言うんですか~!』って大泣きし始めた。良い大人がだぞ」

「…」

「結局最終的には逆ギレして、『私の言う通りにしてくれないならやめる!』って絶叫したから、宣言通りやめてもらった」

「…」

…なんか、アレだね。

「…皆さん、色々大変だったんですね」

「…そうなんだよ…」

『ダーク・エンジェルズ』にボーカルがいないのは、断じてミヤノ達のせいではない。

それがよく分かった。