Music of Frontier

「まず一人目。あれはルクシーが加入するより少し前のことだったが…。確か、当時20代後半の男性だった」

20代後半か。

俺達よりはちょっと年代が上だが、選り好みしてるけどじゃないので、ギリギリ許容範囲だろう。

「何で落としたんですか?」

やっぱり、年上だとやりにくいから?

「あー…。あいつか…。あいつはヤバかったな…」

エルーシアは何かを思い出した様子。

ヤバかったって、何が?

選り好みしてる状況じゃないのに落としたということは、余程致命的な欠点があったのだろう。

「音痴だったんですか…?」

ボーカルで音痴はさすがに落とさざるを得ない。

だが、現実はもっと悲惨だった。

「いや、違う。あの人は…歌う曲が、ことごとく萌えアニメ系の主題歌だったんだ」

成程。それは無理だ。

「それは…ヤバいですね」

「あぁ。面接に来たとき、推しのTシャツを着て、しかもオーディションとばかりに、頼んでもないのに歌い出した。振り付きでな」

「済みません。俺が悪かったです」

それは落とすわ。いくら選り好み出来る状況じゃないとはいえ。

「おまけに、物凄いデブだったぞ。あれが本当の萌え豚…」

「おいやめろ、エル。それ以上は差別的発言だ」

成程。そんな人がボーカルになんてなったら、『ダーク・エンジェルズ』が本当にダークな方に染まってしまうな。

それは落として正解。

「で…二人目って言うのは?」

「あー…。うん、二人目が来たのは…ルクシーが入って一年くらいたったときかな」

「あぁ、あいつか…。俺も覚えてるよ」

「あいつも、なかなかの衝撃だったよな…」

遠い目をして語り合う三人。

ちょっと。何それ。

さっきの萌え豚さんも相当な衝撃だったんだけど、同じくらいヤバい人が来たの?

引きが悪いにも程があるぞ。