Music of Frontier

「お前頭良いし、良い教育受けてるから、引く手数多だろう」

「そうでもないですよ。この間まで入院してた身ですし…。それに、俺には足の問題がありますから…」

「あ、そうか…」

杖つきながら出来る仕事となると…ちょっと選択肢が絞られてくるよね。

デスクワークかな…やっぱり。

「折角なら…お前の頭を生かした職を探したいもんだよな」

「まぁ…。今となってはそれだけが取り柄ですしね」

もう二年間勉強してないから、その頭もちょっと怪しくなってはきてるが…。

「何なら医者にもなれるんじゃないか?」

「…知識だけだったら行けるかもしれませんね」

実習期間がしばらく必要だろうが、知識だけなら医者も無理ではない。

帝国騎士官学校は、言い方を変えればある種の軍隊学校なので、怪我をしたときの治療法や人体の構造についての授業は、カリキュラムに含まれている。

特に、俺が在学していた一年生から三年生までで徹底的に勉強させられるので、そこらのヤブ医者よりかは医学に精通している自信がある。

まぁ、今となっては現役で学生していたときほどの知識はないが、少し勉強し直せば、医師国家試験合格も夢ではない。

そう思うと、帝国騎士官学校で四年間勉強していたというのは、有効なステータスだな。

「でも医者って忙しそうですし…。バンド活動も両立して頑張りたいので、そこそこ働けるくらいで良いんですよね」

贅沢するつもりもないから、必要以上に稼ぎたい訳でもないし。

そこそこ稼げて、そこそこ忙しいくらいで丁度良いのだが…。

で、俺のこのポンコツな足でも働ける。

そんな夢のような職はないものか。

さすがに贅沢が過ぎるか。

「まぁ、急いで探す必要もないだろ。お前はまだ退院したばかりなんだし」

「…そうですねぇ」

今すぐ出ていかなきゃならない訳でもない。

ルクシーとルクシー母は、うちの薄情な両親とは違って、ある日いきなり「今すぐ出ていけ」とは言わないだろうし。

ゆっくり探せば良いだろう。

「…あと、いくら職を探そうとも、お前がちゃんと一人でも飯食べて、薬を飲むようになるまでは独り立ちはさせないからな」

「…分かってますよ…」

釘を刺すことも忘れない辺り、さすがである。