Music of Frontier

「ついに退院だね。おめでとう、ルトリア君」

「ありがとうございます、エインリー先生」

祝福と共に、エインリー先生は俺に花束をくれた。

…さすがに、感慨深いものがあるな。

まさか自分の足でちゃんと歩いて、病院を出ていく日が来ようとは。

二年前の俺だったら、こんな日が来るなんて信じられなかっただろうな。

「本当に…色々、お世話になりました」

「いやいや。私の力じゃない。君は…君達には、本当に驚かされたよ。絆の力って奴だねぇ」

絆の力…か。

臭いことを言うようだが、確かにその通りだな。

「それに、まだ完治した訳じゃないからね…。週一の通院と、それからお薬も忘れないように。ルクシー君、監督お願いね」

「分かってます」

ルクシーはしっかりと頷いた。

…別にルクシーに監督されなくても、ちゃんと飲むのに。

「それじゃ、また来週、病院に来たときに会おうね。もう入院病棟には戻ってきちゃ駄目だよ」

「はい。エインリー先生…本当にありがとうございました」

「どういたしまして。無理せず頑張ってね」

エインリー先生と握手して、俺はルクシーと共に病院を出た。

…こんな日が来るとはなぁ。

今でも、信じられないくらいだ。

「行こう、ルトリア」

「はい」

俺がここを出ることが出来たのは。

間違いなく…傍らにいる、ルクシーのお陰だ。