Music of Frontier

俺には、致命的とも言える欠陥がある。

「ルクシーに聞いてるとは思いますけど…。その、俺の足のこと…」

「あー…。左足、だったっけ?ちょっと…不自由なんだよな?」

「…はい」

杖をつかないと…歩けないくらいには。

その頃にはリハビリも徐々に進んでいたが、やっぱり、手摺を掴むか、松葉杖がなければ歩けなかった。

楽器は、練習すればそれなりに上手くなるだろう。

でも、この足は別だ。

どれだけリハビリしても、完全にもとには戻らない。

「全く歩けない訳じゃないんだろ?」

「…その…杖をつけば、何とか…」

「なら、上等じゃないか。最悪車椅子でも、ギターは弾けるよ」

何でもない風に、ミヤノはさらりとそう言った。

「俺達は気にしないし、お前も気にしないでくれ。な、エル」

「おう。エルも気にしないぞ。折角一緒にやるんだ。難しいことは気にせず、仲良くしようぜ、ルトリーヌ」

「…ありがとうございます…」

…良かった。本当に…良い人達みたいだ。

俺は心からホッとした。ルクシーが選んだグループなだけある。

さっきまで俺は、胃が捩れるほど心配していたけれど…そんな自分が馬鹿みたいだ。

この人達となら、頑張れそうだ。

俺はそう思った。