Music of Frontier

そうして、彼らは俺のもとを訪ねてきてくれた。

俺は内心びくびくしていたし、向こうも身構えていたに違いない。

恐らく二人共、精神科の入院病棟なんて初めて入ったのだろうし。

やっぱこんなメンヘラ、仲間にするのやめね?とか。

そんなこと言われたらどうしよう。

もし言われなかったとしても…。もう一つ心配が。

ルクシーの仲間達が、もし…俺にとって、その…何て言うか、苦手なタイプだったらどうしよう。

昔の俺だったら、大抵の人とは仲良くなれる自信があったが。

二年前、友人だと思っていた人達に裏切られて以来…俺は初めて会う人を酷く警戒するようになっていた。

もし、派手な金髪と腕のタトゥーを見せびらかしてるような人だったら、どうしよう。

俺とは多分、仲良くなれないタイプだ。

いや、バンドやってるならそういう人は珍しくないのかもしれないけど。

俺にはハードルが高過ぎる。

ルクシーは髪を染めてないし、タトゥーもしてないから、多分そういうお仲間達ではないのだと思うけど。

でも…やっぱり不安。

人間、見た目じゃなくて中身だって言うけどさ。

俗に言う、パリピ的な人が来たらどうしよう。

そのテンションについていける自信が、全くない。

などと、あれこれ心配しては悶々していると。

「ルトリア、連れてきたぞ」

「あ…はい…」

ルクシーに病室をノックされて、俺はびくっ、とした。

…来てしまったか。

来てしまったからには、会わないといけないな。

俺はベッドに体育座りをして、病室の扉が開くのをじっと見つめていた。

すると。

「どもー、お邪魔しま~」

「失礼、お邪魔します」

一人は、俺と同い年くらいの青年。

もう一人は、俺より二つ三つ年上の青年だった。

同い年くらいの方は、やや暗めの茶髪に染めていたけれど、もう一人の年上の方は黒髪だった。

それに、二人共タトゥーをしている様子はない。

服装も派手ではない。年上の方なんて、むしろ地味なくらい。

良かった。…所謂、パリピ的な人ではないようだ。

俺はホッと胸を撫で下ろした。