Music of Frontier

──────…一方。

俺は、ルトリアが熱を出すまで頑張らせてしまったことを、酷く悔いていた。




「…ごめんな、ルトリア…」

「別に…あなたが悪い訳じゃないですよ…」

ベッドの上で、顔を赤くしてぐったりしているルトリアに。

俺は申し訳ない気持ちで一杯だった。

俺がルトリアに無理矢理…色々やらせたせいで。

「だって、過労なんだろ…?俺のせいじゃないか…」

「俺の体力がゴミだったせいですよ…。あなたのせいじゃない」

…お前の体力を踏まえて、無理なくやらせるべきだったのだ。

そりゃそうだよな。この間まで寝る以外ほぼ何もしてなかった人間が、いきなり歩き出そうとしたり、ずっと使ってなかった頭に、いきなり大量の知識を詰め込んだりすれば。

オーバーヒートしてしまうのは、当然のことだ。

…ルトリアに申し訳ない。

「お願いだからな、ルトリア…。焦るなよ。お前がやる気を出してくれたのは嬉しいけど。でも無理して身体悪くしちゃ笑えないんだからな?」

「分かってますよ…」

「いいや分かってない。少しずつ頑張れば良いんだ。頼むから、無理だけはしないでくれ」

「…はい」

…これだけ言っても、多分ルトリアは分かってないからな。

元来、ルトリアは真面目な奴だった。頑張り過ぎるくらいが丁度良い、なんて平気で言うような奴なのだ。

ルトリアが本来の姿を取り戻してくれたのは大変嬉しいが、ここで無理して身体壊しちゃ意味がない。

俺はルトリアがここまで回復するのに、二年待ったのだ。

あと二年くらい待たされたって、何ともない。

そもそも俺は、ルトリアが回復するまでいつまででも待っているつもりだったのだ。待つことは苦ではない。

…ルトリアが無理しないように、俺がセーブしてやらないと。

「…ゆっくりで良いんだからな、ルトリア。本当に」

「はい。肝に銘じます」

…そうしてくれ、頼むから。