そんな俺にとって至福の時は、年に二回ある長期休暇だった。
学校から解放される長期休暇のときに、俺はようやくルクシーに会うことが出来た。
「あぁ…。ルクシー…」
「久し振りだな、ルトリア」
何だろう。半年くらい会わなかっただけなのに。
親友の顔を見ると、何だか涙が出そうになった。
大袈裟じゃなくて、本当に。
「持つべき者は親友だなって…思いました…」
「…そうか。色々と…大変なんだな」
「そう…大変なんですよ…」
親友の顔を見るなり、風船から空気が抜けるように身体から力が抜けてしまった。
結構無理してたんだなー、と思った。
「勉強、やっぱり難しいか?」
「勉強は…難しいですよ。難しいですけど…それはそんなに大変じゃなくて…」
勉強が難しいのは、入学する前から分かっていたことだ。
だから勉強の大変さは、まだ許容出来る。
「友達出来た?」
「…ちょっと話す友達くらいは…」
エミスキーとか…。イーリアとかラトベルとか。
強いて言うなら、この三人が友達だ。
入学して割とすぐに、彼らの方から声をかけてくれて、グループに入れてくれた。
でも、彼らは親友とは言いがたい。
何でも喋れる仲、って訳じゃない。
「じゃあ…やっぱり一番大変なのは、寮か」
「…」
…言わずもがな、だよな。
俺にとって想定外だったのは、寮でのことだ。
まさか自分があんなに先輩達にやっかまれるなんて思わないじゃん。
そりゃ、多少のイビりくらいはあるだろうと思ってたけど。
ベッドに鉛筆の削りクズ入れられることになるなんて、入学前に分かっていれば…俺だって考え直してたよ。
「どんなこと言われるんだ?」
「…一年の癖に生意気とか…。姉のコネで入学したんだろ、とか…」
「小学生かよ…」
だよね。俺もそう思う。
それから俺は、鞄べとべと事件とか、ベッドの削りクズ事件とかの話をルクシーにした。
ルクシーは露骨に不機嫌そうな顔をして聞いてくれた。
「…幼稚臭い奴らだな。天下の帝国騎士官学校が聞いて呆れる」
「ですよね…」
何より悔しいのが、その小学生かってくらい幼稚な奴らに、俺がこれだけ泣かされているという事実だ。
あんな奴ら、好きに言わせて放っておく、なんてことが出来れば良いのに。
でもそうは行かないのだ。俺だって人間だから。
悪口言われりゃ悲しいし、嫌がらせされたら腹も立つ。
何も感じてない振りなんて出来ない。
「そうか…。ルトリア、お前も大変だな。頑張ってるんだな」
「…ありがとうございます」
ルクシーの気遣いに、俺はまたちょっと泣きそうになった。
学校から解放される長期休暇のときに、俺はようやくルクシーに会うことが出来た。
「あぁ…。ルクシー…」
「久し振りだな、ルトリア」
何だろう。半年くらい会わなかっただけなのに。
親友の顔を見ると、何だか涙が出そうになった。
大袈裟じゃなくて、本当に。
「持つべき者は親友だなって…思いました…」
「…そうか。色々と…大変なんだな」
「そう…大変なんですよ…」
親友の顔を見るなり、風船から空気が抜けるように身体から力が抜けてしまった。
結構無理してたんだなー、と思った。
「勉強、やっぱり難しいか?」
「勉強は…難しいですよ。難しいですけど…それはそんなに大変じゃなくて…」
勉強が難しいのは、入学する前から分かっていたことだ。
だから勉強の大変さは、まだ許容出来る。
「友達出来た?」
「…ちょっと話す友達くらいは…」
エミスキーとか…。イーリアとかラトベルとか。
強いて言うなら、この三人が友達だ。
入学して割とすぐに、彼らの方から声をかけてくれて、グループに入れてくれた。
でも、彼らは親友とは言いがたい。
何でも喋れる仲、って訳じゃない。
「じゃあ…やっぱり一番大変なのは、寮か」
「…」
…言わずもがな、だよな。
俺にとって想定外だったのは、寮でのことだ。
まさか自分があんなに先輩達にやっかまれるなんて思わないじゃん。
そりゃ、多少のイビりくらいはあるだろうと思ってたけど。
ベッドに鉛筆の削りクズ入れられることになるなんて、入学前に分かっていれば…俺だって考え直してたよ。
「どんなこと言われるんだ?」
「…一年の癖に生意気とか…。姉のコネで入学したんだろ、とか…」
「小学生かよ…」
だよね。俺もそう思う。
それから俺は、鞄べとべと事件とか、ベッドの削りクズ事件とかの話をルクシーにした。
ルクシーは露骨に不機嫌そうな顔をして聞いてくれた。
「…幼稚臭い奴らだな。天下の帝国騎士官学校が聞いて呆れる」
「ですよね…」
何より悔しいのが、その小学生かってくらい幼稚な奴らに、俺がこれだけ泣かされているという事実だ。
あんな奴ら、好きに言わせて放っておく、なんてことが出来れば良いのに。
でもそうは行かないのだ。俺だって人間だから。
悪口言われりゃ悲しいし、嫌がらせされたら腹も立つ。
何も感じてない振りなんて出来ない。
「そうか…。ルトリア、お前も大変だな。頑張ってるんだな」
「…ありがとうございます」
ルクシーの気遣いに、俺はまたちょっと泣きそうになった。


