Music of Frontier

「ごめ…」

「謝るなよ、馬鹿」

謝罪しようとしたところを、ルクシーに止められた。

…謝るなって、何で。

「謝って欲しくなんかない。むしろ謝るのは俺の方だろ…。お前が一番辛いときに、俺は何にもしてやれなかったんだから」

「…そんな…ことは」

ルクシーが謝る必要なんてない。彼は何も悪いことなんてしていないのだから。

「だから、お互い様ってことだ。俺も悪かったし、お前も悪い」

「…でも…」

「でも言うな。そりゃ確かにな、ここに来るまでは、お前に色々言ってやろうとか、説教しようと思ってたけどさ…」

ルクシーは天井を見上げながら、半ば笑いながら言った。

「お前の顔見たら、どうでも良くなった。生きて、ここにいるんだから…もうそれで良いや。それ以上大切なことなんてない」

「…ルクシー…」

「俺は、お前が元気になるまで…立ち直って、また前を向いて歩き出すまで…ずっと待ってるから。ずっとお前の隣にいて、ずっと待ってるからな」

…俺という人間は、なんて愚かだったのだろう、と思った。

自分のことを、こんなにも思ってくれる人がいるというのに。

それを忘れて、勝手にもう人生終わりだと決めつけて、生きることを諦めるなんて。

…愚かしいにもほどがある。

死にたいとか、もう生きられないとか、全部終わったとか…色々考えていたけど。

…この人がいてくれるのなら、もう少し頑張ってみよう。

前を向いて、生きよう。

俺は、そう思った。