ドアを開けた先──そこには、僕の“好き”がぎゅっと詰まった空間が広がっている。
正面には、大きな出窓。その横の壁一面には、木目のフレームで作られたガラスのフィギュアケースがずらりと並んでいる。
部屋の中央には、長方形の木のテーブルと椅子。テーブルの上には、大学をイメージしたハウスのセットと、アイビーリーグファッションを着たピーターズたちが飾られていた。
ケースの下段には、比較的大きな家や背景ジオラマ。その上の棚には、小物や人形たちがテーマ別にきれいに並べられている。
さらに、ひとつのフィギュアケースは“洋服専用”。小さなハンガーに、繊細に作られた衣装がかかっていて、まるでピーターズ専用のクローゼットのようだった。
別のケースには、タオルやキーホルダー、ペンなど、ファンの間でも入手困難なピーターズファミリーのレアグッズが丁寧に収められていた。
「わぁ〜、かわいい……!」
美愛ちゃんが小走りで中央のテーブルに駆け寄る。その瞳はまるで少女のようにキラキラと輝いていて、まっすぐピーターズを見つめていた。
一方で、葉子ちゃんは“クローゼット”のフィギュアケースにくぎづけになっていた。真剣そのものの表情で、小さな服たちのディテールをひとつひとつ確かめている。さすが、アパレル会社Cool Beautyの副社長だ。
ちなみに、この部屋の存在を知っているのは、仁と雅だけじゃない。他の慶智の王子たちも、ここを作るときに家具を運んだり、棚を組み立ててくれたりして、何かと手を貸してくれた。
だからこそ、今何も言わずに微笑んでくれている仁と雅の表情を見るだけで、心が少しほっとした。
『ほら、大丈夫だろう?』
そんなふうに言われている気がして。
そのとき、ふと葉子ちゃんと目が合った。何かを言いたそうにしていた彼女が、一歩こちらに近づいてきて、ガラスケースを指差す。
「ねえ、大和さん。ここにある……、これ! これは、既製品じゃないわよね?」
彼女が指していたのは、細かなフリルとレースがたっぷりあしらわれた、ロリータ風のドレス。
「ああ……、このフリフリのやつ?」
少し照れながらも、僕は説明する。
「これはね、たしか1年くらい前かな。
ピーターズファミリーのコンベンションがあって、その時に買ったんだ。僕が所属してるのは“アイビーリーグファッション”のクラブなんだけど、これは“ロリータファッション”のクラブに属してる女の子が出店してて。あまりに可愛くて、つい……」
葉子ちゃんはふんふんと頷きながらも、どこか鋭い眼差しでその衣装をじっと見つめていた。
まるで、デザイナーとして何かを読み取ろうとしているようなそんな目だった。
正面には、大きな出窓。その横の壁一面には、木目のフレームで作られたガラスのフィギュアケースがずらりと並んでいる。
部屋の中央には、長方形の木のテーブルと椅子。テーブルの上には、大学をイメージしたハウスのセットと、アイビーリーグファッションを着たピーターズたちが飾られていた。
ケースの下段には、比較的大きな家や背景ジオラマ。その上の棚には、小物や人形たちがテーマ別にきれいに並べられている。
さらに、ひとつのフィギュアケースは“洋服専用”。小さなハンガーに、繊細に作られた衣装がかかっていて、まるでピーターズ専用のクローゼットのようだった。
別のケースには、タオルやキーホルダー、ペンなど、ファンの間でも入手困難なピーターズファミリーのレアグッズが丁寧に収められていた。
「わぁ〜、かわいい……!」
美愛ちゃんが小走りで中央のテーブルに駆け寄る。その瞳はまるで少女のようにキラキラと輝いていて、まっすぐピーターズを見つめていた。
一方で、葉子ちゃんは“クローゼット”のフィギュアケースにくぎづけになっていた。真剣そのものの表情で、小さな服たちのディテールをひとつひとつ確かめている。さすが、アパレル会社Cool Beautyの副社長だ。
ちなみに、この部屋の存在を知っているのは、仁と雅だけじゃない。他の慶智の王子たちも、ここを作るときに家具を運んだり、棚を組み立ててくれたりして、何かと手を貸してくれた。
だからこそ、今何も言わずに微笑んでくれている仁と雅の表情を見るだけで、心が少しほっとした。
『ほら、大丈夫だろう?』
そんなふうに言われている気がして。
そのとき、ふと葉子ちゃんと目が合った。何かを言いたそうにしていた彼女が、一歩こちらに近づいてきて、ガラスケースを指差す。
「ねえ、大和さん。ここにある……、これ! これは、既製品じゃないわよね?」
彼女が指していたのは、細かなフリルとレースがたっぷりあしらわれた、ロリータ風のドレス。
「ああ……、このフリフリのやつ?」
少し照れながらも、僕は説明する。
「これはね、たしか1年くらい前かな。
ピーターズファミリーのコンベンションがあって、その時に買ったんだ。僕が所属してるのは“アイビーリーグファッション”のクラブなんだけど、これは“ロリータファッション”のクラブに属してる女の子が出店してて。あまりに可愛くて、つい……」
葉子ちゃんはふんふんと頷きながらも、どこか鋭い眼差しでその衣装をじっと見つめていた。
まるで、デザイナーとして何かを読み取ろうとしているようなそんな目だった。



