「……、僕が、圭衣ちゃんを苦しめてるんだ」
ようやく出てきた言葉は、自分でも情けないほど、弱々しかった。
すると葉子ちゃんが、ほんの少しだけ苦笑しながら言った。
「圭衣本人が素直じゃないから、自分で首を絞めちゃってるのよ。大和さんと圭衣、どっちにしろ本音で向き合わなきゃダメだよ」
そう言ってから、少しだけ間を置いて、柔らかく続ける。
「もしよかったら、大和さんの計画を教えてくれないかな?あたしたちに、できることがあるかもしれない」
その時、それまで黙っていた雅が口を開いた。
「俺たちはおまえを裏切らないし、それは、花村姉妹も同じだ」
真っ直ぐな視線で、僕を見つめながら続ける。
「ただ……、お互い愛し合ってるのに一緒になれないって、おかしいってさ。それ、美愛ちゃんが言ってたんだ」
美愛ちゃんは少し顔を赤らめながら、雅の隣で小さく頷いていた。その姿が、やけに真っすぐで、胸に沁みた。
「……、俺たちみんな、おまえと圭衣ちゃんに、幸せになってほしいんだ」
こんなふうに、誰かに本気で背中を押されたのは、いつぶりだろう。
その真剣な眼差しに、僕は静かに頷いた。そして、深呼吸して、計画を語り始めた。
紫道くんに頼んで作ってもらっている婚約指輪の話。30周年記念の限定ぬいぐるみ“ウィルとラーラ”を使った、再プロポーズの作戦。
ぬいぐるみに着せるウェディング衣装のこと。
ピーターズファミリーへの愛を話すのは、やっぱり恥ずかしかった。
でも、もう隠す理由なんてなかった。
話を聞いていた葉子ちゃんと美愛ちゃんは途中で目を見開き、顔を見合わせていた。なぜか、それが笑われているように感じて、胸がぎゅっと縮まる。
僕は立ち上がり、鍵をかけてある奥の部屋へ向かった。紙袋を手に戻り、その中からウィルとラーラを取り出して、みんなの前にそっと並べた。
その瞬間、美愛ちゃんが一瞬口を開きかけた。けれど、隣にいた葉子ちゃんが、小さく首を横に振るのが見えた。
……、僕の見間違い?
でも、もしかしてやっぱり、気持ち悪がられてるんじゃ……。
そんな不安が頭をもたげてきて、沈黙が妙に重たく感じた。
それを打ち破るように、葉子ちゃんが明るい声を出す。
「よし! あたしが理由をつけて、うまく圭衣にウェディング衣装を製作させるよ!しかし懐かしいな〜、ピーターズ」
続いて、美愛ちゃんが懐かしそうに微笑んだ。
「小さい頃、よく圭衣ちゃんがね……、手作りで、かわいいピーターズファミリーのお洋服を作ってくれたの。また圭衣ちゃんのお人形のお洋服が見られるの、嬉しいなぁ」
「そうだよね」
葉子ちゃんも頷く。
「圭衣は洋服だけじゃなくて、小物や家具も、百均で材料を買って、美愛とあたしに作ってくれたよね。ドレッサーとか、ティーセットとか。全部ちっちゃくて、すごく丁寧でさ」
いつの間にか、リビングの空気が柔らかくなっていた。
みんなの記憶の中にある“圭衣”は、誰よりも優しくて、努力家で、そして不器用な女の子。
その笑顔を守りたくて、僕は今、ようやく一歩踏み出そうとしている。
……、でも。
心のどこかで、まだ引っかかっている感情があった。
この空気。
この沈黙。
もしかして……、僕、やっぱり変に思われてる?
そう考えると、居ても立ってもいられなくなって、僕は思わず口を開いてしまった。
ようやく出てきた言葉は、自分でも情けないほど、弱々しかった。
すると葉子ちゃんが、ほんの少しだけ苦笑しながら言った。
「圭衣本人が素直じゃないから、自分で首を絞めちゃってるのよ。大和さんと圭衣、どっちにしろ本音で向き合わなきゃダメだよ」
そう言ってから、少しだけ間を置いて、柔らかく続ける。
「もしよかったら、大和さんの計画を教えてくれないかな?あたしたちに、できることがあるかもしれない」
その時、それまで黙っていた雅が口を開いた。
「俺たちはおまえを裏切らないし、それは、花村姉妹も同じだ」
真っ直ぐな視線で、僕を見つめながら続ける。
「ただ……、お互い愛し合ってるのに一緒になれないって、おかしいってさ。それ、美愛ちゃんが言ってたんだ」
美愛ちゃんは少し顔を赤らめながら、雅の隣で小さく頷いていた。その姿が、やけに真っすぐで、胸に沁みた。
「……、俺たちみんな、おまえと圭衣ちゃんに、幸せになってほしいんだ」
こんなふうに、誰かに本気で背中を押されたのは、いつぶりだろう。
その真剣な眼差しに、僕は静かに頷いた。そして、深呼吸して、計画を語り始めた。
紫道くんに頼んで作ってもらっている婚約指輪の話。30周年記念の限定ぬいぐるみ“ウィルとラーラ”を使った、再プロポーズの作戦。
ぬいぐるみに着せるウェディング衣装のこと。
ピーターズファミリーへの愛を話すのは、やっぱり恥ずかしかった。
でも、もう隠す理由なんてなかった。
話を聞いていた葉子ちゃんと美愛ちゃんは途中で目を見開き、顔を見合わせていた。なぜか、それが笑われているように感じて、胸がぎゅっと縮まる。
僕は立ち上がり、鍵をかけてある奥の部屋へ向かった。紙袋を手に戻り、その中からウィルとラーラを取り出して、みんなの前にそっと並べた。
その瞬間、美愛ちゃんが一瞬口を開きかけた。けれど、隣にいた葉子ちゃんが、小さく首を横に振るのが見えた。
……、僕の見間違い?
でも、もしかしてやっぱり、気持ち悪がられてるんじゃ……。
そんな不安が頭をもたげてきて、沈黙が妙に重たく感じた。
それを打ち破るように、葉子ちゃんが明るい声を出す。
「よし! あたしが理由をつけて、うまく圭衣にウェディング衣装を製作させるよ!しかし懐かしいな〜、ピーターズ」
続いて、美愛ちゃんが懐かしそうに微笑んだ。
「小さい頃、よく圭衣ちゃんがね……、手作りで、かわいいピーターズファミリーのお洋服を作ってくれたの。また圭衣ちゃんのお人形のお洋服が見られるの、嬉しいなぁ」
「そうだよね」
葉子ちゃんも頷く。
「圭衣は洋服だけじゃなくて、小物や家具も、百均で材料を買って、美愛とあたしに作ってくれたよね。ドレッサーとか、ティーセットとか。全部ちっちゃくて、すごく丁寧でさ」
いつの間にか、リビングの空気が柔らかくなっていた。
みんなの記憶の中にある“圭衣”は、誰よりも優しくて、努力家で、そして不器用な女の子。
その笑顔を守りたくて、僕は今、ようやく一歩踏み出そうとしている。
……、でも。
心のどこかで、まだ引っかかっている感情があった。
この空気。
この沈黙。
もしかして……、僕、やっぱり変に思われてる?
そう考えると、居ても立ってもいられなくなって、僕は思わず口を開いてしまった。



