「大和さんがどこまで知っているのかわからないけれど……」
葉子ちゃんは、少し間を置いてから言った。
「……、あたしたち、圭衣がいなくなっちゃいそうで、怖いのよ」
いなくなる?
「えっ……? いなくなるって、どうして?」
思わず立ち上がり、語気を強めてしまった。
その勢いに、美愛ちゃんがびくりと肩を揺らす。仁が静かに手を伸ばし、僕の腕を取って座るよう促した。
葉子ちゃんは落ち着いた声で、僕たちが別れた後のことを順を追って話してくれた。
「もう、仁からも聞いているでしょう?圭衣、理由をつけて私たちとも会おうとしなくなってるの。美愛の作り置きも、今では断ってる」
僕は無意識に拳を握っていた。
「実家の父さまと母さまも、圭衣の話題を避けてる。家族のグループLIMEも、圭衣を外したものが新たに作られて……」
そんな……、圭衣ちゃんが……。
「会社の方も、今は新しい企画が始まって忙しいけれど、それでも週の半分は圭衣と私とで交代で出社してるの。でもね、圭衣、会社を辞めたがってるのよ」
「……、え?」
頭が真っ白になった。
Cool Beautyは、圭衣ちゃんの夢だったはずだ。子供の頃からずっと、妹たちと一緒に描いてきた未来の形。それを、今、手放そうとしてるなんて。
「辞めてどうするんだ……」
声にならない問いが喉の奥で渦巻く。
「葉子ちゃん、それって……、もしかして、僕が理由?」
自分でも、怖くて訊きたくなかったことだった。けれど、訊かずにはいられなかった。
葉子ちゃんはしばらく考え込むように黙り、やがて静かに首を横に振った。
「うーん……、初めはそう思ったの。
圭衣、今でも大和さんのことを想ってる。
だから、あなたに会うのが辛いって、そう言ってた」
僕の胸が、じくりと痛んだ。
「でもね、今は……、それだけじゃない気がするのよ」
葉子ちゃんは、美愛ちゃんの背をそっと撫でながら、続けた。
「たぶん父さまと母さまと、何かあったんじゃないかって思ってる」
その言葉に、僕は息を呑んだ。
「責任感の強い圭衣が、自分の夢だった会社を辞めようとするなんて、本来ならありえないのよ。だけど、今の圭衣は……、何かを切り離そうとしてる。Cool Beautyからも、家族からも、全部」
言葉が、心に突き刺さった。
「……、ここにいて、これからも“大家族の集まり”に、いろんな意味で参加しなきゃいけないって思うと……、嫌なんじゃないかなって」
圭衣ちゃんが、逃げようとしてる。この世界から、自分の居場所そのものから。
その現実が、僕の胸に重くのしかかってきた。
葉子ちゃんは、少し間を置いてから言った。
「……、あたしたち、圭衣がいなくなっちゃいそうで、怖いのよ」
いなくなる?
「えっ……? いなくなるって、どうして?」
思わず立ち上がり、語気を強めてしまった。
その勢いに、美愛ちゃんがびくりと肩を揺らす。仁が静かに手を伸ばし、僕の腕を取って座るよう促した。
葉子ちゃんは落ち着いた声で、僕たちが別れた後のことを順を追って話してくれた。
「もう、仁からも聞いているでしょう?圭衣、理由をつけて私たちとも会おうとしなくなってるの。美愛の作り置きも、今では断ってる」
僕は無意識に拳を握っていた。
「実家の父さまと母さまも、圭衣の話題を避けてる。家族のグループLIMEも、圭衣を外したものが新たに作られて……」
そんな……、圭衣ちゃんが……。
「会社の方も、今は新しい企画が始まって忙しいけれど、それでも週の半分は圭衣と私とで交代で出社してるの。でもね、圭衣、会社を辞めたがってるのよ」
「……、え?」
頭が真っ白になった。
Cool Beautyは、圭衣ちゃんの夢だったはずだ。子供の頃からずっと、妹たちと一緒に描いてきた未来の形。それを、今、手放そうとしてるなんて。
「辞めてどうするんだ……」
声にならない問いが喉の奥で渦巻く。
「葉子ちゃん、それって……、もしかして、僕が理由?」
自分でも、怖くて訊きたくなかったことだった。けれど、訊かずにはいられなかった。
葉子ちゃんはしばらく考え込むように黙り、やがて静かに首を横に振った。
「うーん……、初めはそう思ったの。
圭衣、今でも大和さんのことを想ってる。
だから、あなたに会うのが辛いって、そう言ってた」
僕の胸が、じくりと痛んだ。
「でもね、今は……、それだけじゃない気がするのよ」
葉子ちゃんは、美愛ちゃんの背をそっと撫でながら、続けた。
「たぶん父さまと母さまと、何かあったんじゃないかって思ってる」
その言葉に、僕は息を呑んだ。
「責任感の強い圭衣が、自分の夢だった会社を辞めようとするなんて、本来ならありえないのよ。だけど、今の圭衣は……、何かを切り離そうとしてる。Cool Beautyからも、家族からも、全部」
言葉が、心に突き刺さった。
「……、ここにいて、これからも“大家族の集まり”に、いろんな意味で参加しなきゃいけないって思うと……、嫌なんじゃないかなって」
圭衣ちゃんが、逃げようとしてる。この世界から、自分の居場所そのものから。
その現実が、僕の胸に重くのしかかってきた。



