「なあ、俺たち、もう少し情報を共有しねぇか?」
仁が真剣な表情で口を開いた。
「もちろん、言える範囲で、だ。俺たちは大和がまだ話していない個人的な情報を、そっちにベラベラ話すつもりはねぇし、それはそっちも同じだろ?」
雅と美愛が、静かに頷いた。葉子は少し考え込むようにうつむき、しばらく沈黙したあと、ふと顔を上げて提案する。
「ねえ……、今回のこと、2人の経緯を時系列で書き出してみない? そうすれば、どこで意思のすれ違いが起こって、問題に発展したのかが見えるかもしれない。今のままじゃ、どっちの話も一方通行でしょ? それを重ねてみたら、見えてくることがあるかもしれない」
その言葉に、一同が頷いた。
葉子はすぐに立ち上がり、棚から紙と鉛筆を取り出すと、美愛の元へ差し出した。
「美愛、お願いできる?」
「うん、もちろん」
緊張気味だった美愛が、少しだけ笑みを浮かべながら受け取る。そして4人は、リビングのテーブルに集まり、それぞれが知る限りの出来事を時系列で話しながら、圭衣と大和の間に起こった出来事を1つずつ書き出していった。
もちろん、本人たちから聞いた『言えない秘密』には触れないように慎重に。
完成した表を見て、全員が黙り込んだ。
やはり、すべての始まりはあの日、大和が圭衣のマンションを怒って飛び出したあの夜からだった。
その時、圭衣は何も知らなかった。キラリのストーカー行為に関する情報も、大和がなぜ連絡を絶ったのかも。
だが今、葉子と美愛は知っている。大和が圭衣に連絡しなかったのは、キラリの問題が片付くまで彼女を守るためだったことを。
そして、その問題がようやく解決した直後、今度は新たな誤解とすれ違いが2人を引き裂いていた。
姉妹は圭衣からその詳細をまだ聞かされていなかったため、時系列の後半は自然と大和側からの証言のみで構成されることとなった。
一枚の紙に刻まれた、幾つもの出来事。
その合間に浮かぶ、たくさんの「もしも」の選択肢。そして、ほんの少しの勇気があれば変わっていたかもしれない運命の分岐点。
4人はそれぞれ、その紙を見つめながら、ため息をついた。けれど同時に、その紙が“再び繋ぐための地図”になることを、誰もがどこかで期待していた。
仁が真剣な表情で口を開いた。
「もちろん、言える範囲で、だ。俺たちは大和がまだ話していない個人的な情報を、そっちにベラベラ話すつもりはねぇし、それはそっちも同じだろ?」
雅と美愛が、静かに頷いた。葉子は少し考え込むようにうつむき、しばらく沈黙したあと、ふと顔を上げて提案する。
「ねえ……、今回のこと、2人の経緯を時系列で書き出してみない? そうすれば、どこで意思のすれ違いが起こって、問題に発展したのかが見えるかもしれない。今のままじゃ、どっちの話も一方通行でしょ? それを重ねてみたら、見えてくることがあるかもしれない」
その言葉に、一同が頷いた。
葉子はすぐに立ち上がり、棚から紙と鉛筆を取り出すと、美愛の元へ差し出した。
「美愛、お願いできる?」
「うん、もちろん」
緊張気味だった美愛が、少しだけ笑みを浮かべながら受け取る。そして4人は、リビングのテーブルに集まり、それぞれが知る限りの出来事を時系列で話しながら、圭衣と大和の間に起こった出来事を1つずつ書き出していった。
もちろん、本人たちから聞いた『言えない秘密』には触れないように慎重に。
完成した表を見て、全員が黙り込んだ。
やはり、すべての始まりはあの日、大和が圭衣のマンションを怒って飛び出したあの夜からだった。
その時、圭衣は何も知らなかった。キラリのストーカー行為に関する情報も、大和がなぜ連絡を絶ったのかも。
だが今、葉子と美愛は知っている。大和が圭衣に連絡しなかったのは、キラリの問題が片付くまで彼女を守るためだったことを。
そして、その問題がようやく解決した直後、今度は新たな誤解とすれ違いが2人を引き裂いていた。
姉妹は圭衣からその詳細をまだ聞かされていなかったため、時系列の後半は自然と大和側からの証言のみで構成されることとなった。
一枚の紙に刻まれた、幾つもの出来事。
その合間に浮かぶ、たくさんの「もしも」の選択肢。そして、ほんの少しの勇気があれば変わっていたかもしれない運命の分岐点。
4人はそれぞれ、その紙を見つめながら、ため息をついた。けれど同時に、その紙が“再び繋ぐための地図”になることを、誰もがどこかで期待していた。



