姉たちとは違い、思ったことをすぐ行動に移してしまう美愛は圭衣と大和が、また元の関係に戻ることを、心の底から願っていた。
『圭衣ちゃんも大和兄さまも、お互い深く傷ついているのに……。本当はまだ愛し合ってるんでしょ? だったら、ちゃんと話し合ってほしい。このまま別れさせちゃダメ。私とようちゃんで、なんとかしなきゃ……!』
勢いそのままに葉子へメッセージを送ると、彼女からは冷静な返信が返ってきた。
『気持ちは分かるけど、まずは今の大和さんの状況をきちんと把握してから。
感情で動かずに、情報を集めてから判断しよう。いい?』
たしかに、それも一理ある。
一応納得した美愛は、圭衣にも今の状況を伝えることにした。
『大和兄さま、バーVIPでウイスキーを飲みすぎちゃって、雅さんに連絡があったの。
今夜はうちに泊まることになったよ。
雅さんが大きな段ボール箱を抱えて、酔っ払った大和兄さまと一緒に帰ってきたの。
一体、何があったの?』
送信後、スマホを見つめる時間がいつもより長く感じた。……、けれど、圭衣からの返信はなかった。分かっていたけど、せめてスタンプひとつでも返してくれたら。ほんの少しだけ、期待していた自分に落胆する。
ため息をついて、自室のドアを静かに開けるとリビングから、低く交わされる男たちの声が聞こえてきた。
(えっ……、今、雅さんと大和兄さま?)
思わず立ち止まり、息を殺して聞き耳を立てる。
「大和、圭衣ちゃんに……、今日、“あの女”とけりがついたこと、ちゃんと伝えたのかよ?」
「……、言えなかった。会いに行ったけど、もう聞く耳を持ってない感じでさ。涼介のとこで全部片付けて、ようやく会いに行ったのに……、結局このザマだよ。まあ、最初に全部めちゃくちゃにしたのは僕だけど」
「……、でも、ちゃんと向き合って話すべきだったと思うよ。圭衣ちゃんと」
「遅いんだよ、全部。もう……、僕は一生一人でいい。あの子たちがいれば、それでいい……」
──“あの子たち”?
リビングのやり取りを聞いた美愛は、静かに扉を閉め、また自室へ戻る。
すぐさま葉子へ、今聞いた内容をメッセージにまとめて送る。だが、その文面を見ながら、ある疑問が頭をよぎった。
(あの女……、とは何か終わったっぽい。でも、“あの子たち”って何……?)
(え? え? えっ? 圭衣ちゃん以外に……、誰かいるの……?)
(も、もしかして……、“隠し子”⁉︎)
一気にパニックモードへ突入する美愛であった。
『圭衣ちゃんも大和兄さまも、お互い深く傷ついているのに……。本当はまだ愛し合ってるんでしょ? だったら、ちゃんと話し合ってほしい。このまま別れさせちゃダメ。私とようちゃんで、なんとかしなきゃ……!』
勢いそのままに葉子へメッセージを送ると、彼女からは冷静な返信が返ってきた。
『気持ちは分かるけど、まずは今の大和さんの状況をきちんと把握してから。
感情で動かずに、情報を集めてから判断しよう。いい?』
たしかに、それも一理ある。
一応納得した美愛は、圭衣にも今の状況を伝えることにした。
『大和兄さま、バーVIPでウイスキーを飲みすぎちゃって、雅さんに連絡があったの。
今夜はうちに泊まることになったよ。
雅さんが大きな段ボール箱を抱えて、酔っ払った大和兄さまと一緒に帰ってきたの。
一体、何があったの?』
送信後、スマホを見つめる時間がいつもより長く感じた。……、けれど、圭衣からの返信はなかった。分かっていたけど、せめてスタンプひとつでも返してくれたら。ほんの少しだけ、期待していた自分に落胆する。
ため息をついて、自室のドアを静かに開けるとリビングから、低く交わされる男たちの声が聞こえてきた。
(えっ……、今、雅さんと大和兄さま?)
思わず立ち止まり、息を殺して聞き耳を立てる。
「大和、圭衣ちゃんに……、今日、“あの女”とけりがついたこと、ちゃんと伝えたのかよ?」
「……、言えなかった。会いに行ったけど、もう聞く耳を持ってない感じでさ。涼介のとこで全部片付けて、ようやく会いに行ったのに……、結局このザマだよ。まあ、最初に全部めちゃくちゃにしたのは僕だけど」
「……、でも、ちゃんと向き合って話すべきだったと思うよ。圭衣ちゃんと」
「遅いんだよ、全部。もう……、僕は一生一人でいい。あの子たちがいれば、それでいい……」
──“あの子たち”?
リビングのやり取りを聞いた美愛は、静かに扉を閉め、また自室へ戻る。
すぐさま葉子へ、今聞いた内容をメッセージにまとめて送る。だが、その文面を見ながら、ある疑問が頭をよぎった。
(あの女……、とは何か終わったっぽい。でも、“あの子たち”って何……?)
(え? え? えっ? 圭衣ちゃん以外に……、誰かいるの……?)
(も、もしかして……、“隠し子”⁉︎)
一気にパニックモードへ突入する美愛であった。



