想像してみてほしい。
アラサーに差しかかる高身長の女が、フリルだらけのガーリーロリータファッションに身を包み、うさぎのドールたちと楽しそうにおしゃべりしている──
……、絶対に、引かれるに決まっている。
それくらい、自分でもよくわかっている。
だからこそ、この趣味のことを他人に知られぬよう、ずっと隠し通してきたのだ。
この秘密は、よく家に遊びに来る妹たちにも、そして……、大和にも言っていない。
仕事部屋には鍵を付け、さらにその奥のクローゼットにはダブルロック。それほどまでに守りたい、私だけの“お城”。
クローゼットの右側には、白ややわらかなパステルカラーの、フリルのついた洋服や部屋着、パジャマが並ぶ。どれもこれも、私が自分でデザインし、丁寧に仕立てたものだ。
今夜着ているのは、胸元に白いレースとフリルがあしらわれた長袖パジャマに、かぼちゃパンツのドロワーズ。鏡に映った自分の姿に思わず微笑んでしまう。
──かわいすぎる。
この空間では、誰にも気を遣うことなく、
素の自分でいられるのが何よりの幸せだった。
一方で、寝室のクローゼットには「仮の私」がいる。仕事に着ていくスーツや、オフィス用のシンプルな服たち。いくら可愛いものが好きでも、TPOはわきまえている。
本当は、寝室もヴィクトリアン調の白い家具で統一し、ベッドにはレースの天蓋をつけたいくらい。でもそれは叶わない。だから、ピーターズファミリードールのドールハウスで実現しているのだ。
──こんな暮らしをしていて、結婚なんてできるわけがない。
結婚の話が出てから、辛抱強く待ってくれている大和を、これ以上待たせてはいけないと思う気持ちはある。
だけど──
ガーリーロリータファッションも、ピーターズファミリーも、私の心そのものだ。
それらを諦めることが、私にできるだろうか?それとも、大和にすべてを打ち明ける?
……、実を言えば、秘密はこれだけじゃない。
あと、もう一つ。
私が長年つけてきた仮面を、取り外すときが来たのかもしれない。
妹たちも無事に結婚し、「花村」の姓を離れた。
もう、十分じゃない?
我慢しなくても……、いいよね?
でも──
「花村」との関係がなくなった私を、大和は変わらずに想ってくれるのだろうか。
その問いの答えは、
まだ、私の中で出せずにいた。
アラサーに差しかかる高身長の女が、フリルだらけのガーリーロリータファッションに身を包み、うさぎのドールたちと楽しそうにおしゃべりしている──
……、絶対に、引かれるに決まっている。
それくらい、自分でもよくわかっている。
だからこそ、この趣味のことを他人に知られぬよう、ずっと隠し通してきたのだ。
この秘密は、よく家に遊びに来る妹たちにも、そして……、大和にも言っていない。
仕事部屋には鍵を付け、さらにその奥のクローゼットにはダブルロック。それほどまでに守りたい、私だけの“お城”。
クローゼットの右側には、白ややわらかなパステルカラーの、フリルのついた洋服や部屋着、パジャマが並ぶ。どれもこれも、私が自分でデザインし、丁寧に仕立てたものだ。
今夜着ているのは、胸元に白いレースとフリルがあしらわれた長袖パジャマに、かぼちゃパンツのドロワーズ。鏡に映った自分の姿に思わず微笑んでしまう。
──かわいすぎる。
この空間では、誰にも気を遣うことなく、
素の自分でいられるのが何よりの幸せだった。
一方で、寝室のクローゼットには「仮の私」がいる。仕事に着ていくスーツや、オフィス用のシンプルな服たち。いくら可愛いものが好きでも、TPOはわきまえている。
本当は、寝室もヴィクトリアン調の白い家具で統一し、ベッドにはレースの天蓋をつけたいくらい。でもそれは叶わない。だから、ピーターズファミリードールのドールハウスで実現しているのだ。
──こんな暮らしをしていて、結婚なんてできるわけがない。
結婚の話が出てから、辛抱強く待ってくれている大和を、これ以上待たせてはいけないと思う気持ちはある。
だけど──
ガーリーロリータファッションも、ピーターズファミリーも、私の心そのものだ。
それらを諦めることが、私にできるだろうか?それとも、大和にすべてを打ち明ける?
……、実を言えば、秘密はこれだけじゃない。
あと、もう一つ。
私が長年つけてきた仮面を、取り外すときが来たのかもしれない。
妹たちも無事に結婚し、「花村」の姓を離れた。
もう、十分じゃない?
我慢しなくても……、いいよね?
でも──
「花村」との関係がなくなった私を、大和は変わらずに想ってくれるのだろうか。
その問いの答えは、
まだ、私の中で出せずにいた。



